外壁塗装はいつ行う?「まだするな」と言われる理由や判断の基準を紹介

基本的には気温や湿度に気を付け、雨を避けることでいつでも実施できる外壁塗装。

しかしそんな中でも、特に塗装に適したタイミングがあることをご存じでしょうか。

本記事では、「外壁塗装はまだするな」といわれる理由をいくつか紹介した上で、
実施に適したタイミングや業者選びのコツについて解説します。

「外壁塗装はまだするな」と言われるのはなぜ?

外壁塗装を依頼しようとした際に、「まだするな・しないほうがいい」といわれるのには、きちんとした理由があります。
外壁塗装の実施を止められてしまう主な理由は次の3つです。

劣化程度が軽度で済んでいるから

外壁塗装を止められてしまう理由の1つに、劣化が比較的軽度であることが挙げられます。
たとえば、ごくわずかなひび割れであればシーリング材の充填(じゅうてん)などで対応できるため、
今すぐ外壁塗装を施す必要はないと判断されるケースです。

「家を建てたばかり」「前回行った塗装から、まだあまり年数が経っていない」といった場合であれば、
塗膜の役割(防水効果や断熱効果、美観維持など)が十分に機能していると考えられるため、
「まだ早い」といわれることがあります。

外壁の劣化にはさまざまな症状があり、たとえ家主が「気になるから早く塗装してキレイにしたい」と感じても、
プロの目から見るとまだまだしなくても大丈夫と判断されることがあります。

時期を調整すれば助成金・補助金を申請できる可能性があるから

施工のタイミングをうまく調整することで、助成金・補助金を申請できる可能性がある場合、
外壁塗装にストップがかかることもあります。

なぜなら、着工後の申請では助成金・補助金が下りない場合があるためです。

外壁塗装に利用できる助成金・補助金は、国や自治体が設けている制度です。
申請方法や支給対象となる条件、金額などはそれぞれ異なりますが、
基本的には、着工前に申請の手続きが必要であるケースが多いため注意しましょう。

事前にお住まいの自治体では制度を設けているか、支給対象となる条件は何かなど、詳細を確認しておくことをおすすめします。
助成金や補助金の支給対象となる場合、条件に合わせて外壁塗装を実施することで経済的な負担を減らせるでしょう。

助成金や補助金については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
>>外壁塗装で助成金を受け取れる?注意点や例を詳しく紹介

実施する季節が適していないから

季節が適していないという理由から、「外壁塗装はまだしないほうがいい」と判断されることもあります。

外壁塗装は、家の外壁に塗った塗料をしっかりと乾かす必要がありますが、季節によってうまく乾かなかったり、
雨天時には塗料に雨水が混ざったりすることで適切な塗装が妨げられる可能性があります。
これにより、スケジュール通りに工事が進まなかったり、施工に不備が見られたりすることも。

また、工事期間中は窓を開けることができず、さらには室外機にカバーをかけることもあることから、
真夏は控えたほうが良いとされているケースもあります。

さまざまなリスクを避け、適した季節に実施するために季節(タイミング)を選んでいると考えられるでしょう。

外壁塗装を実施するべきタイミングは?

では一体、塗装を実施するにはどのタイミングがベストなのでしょうか。
ここでは外壁塗装を実施すべきタイミングを5つ解説します。

春期・秋期の間

四季がある日本において、春期・秋期は塗り替えに適しているタイミングです。
なぜなら、1年を通して気温と湿度が比較的安定しており、塗った塗料が適切に乾燥するための条件がそろっているからです。

気温が低すぎたり、湿度が高すぎたりすると、塗料がうまく乾かず施工不良を起こす場合があります。
台風や梅雨のシーズンは、スケジュール通りに安定して工事を進めることが難しいこともあるでしょう。

しかし、天候や気温などは地域・環境によっても異なるため、必ずしも春期・秋期しか施工できないわけではありません。
気温・湿度に気を付け、雨を避けることができれば、どのタイミングでも塗り替えは可能なため、
あくまでも「適している」ということです。

前回の塗装から約10年以上が経過したとき

前回の塗装から10年以上経過している場合は、塗り替えを行うタイミングと捉えて良いでしょう。
新築の場合も同じく築10年以上が目安です。

外壁に使われる塗料の耐用年数は10年前後のものが多く、耐用年数を超えた後もそのままメンテナンスをしないでいると、
見た目に変化が現れるだけでなく防水や断熱などの性能が徐々に失われてしまいます。
塗装の劣化が雨漏りにつながったり、雨漏りによって外壁材・屋根材などが腐食したりすることも十分考えられます。

「ウレタン系は5~10年」「アクリル系は3~8年」「シリコン系は10~15年」など、
使用する塗料によってそれぞれ耐用年数は異なりますが、10年を目安に外壁塗装を実施すると良いでしょう。

チョーキングが発生しているとき

外壁に「チョーキング現象」が見られる場合も、塗り替えを実施すべきタイミングです。
チョーキングとは、合成樹脂や顔料などの塗膜成分が劣化することによって白いチョークのような粉が出てきてしまう現象のことです。
外壁を手でサッと触ったときに白い粉が付着するため、比較的分かりやすい兆候といえます。

チョーキングは自然に改善されることはなく、そのままにしておくと雨水が浸透したり、
コケやカビが発生したりするなど、どんどん外壁の劣化が進行してしまいます。
さらなる劣化を防ぐには、早めに対策を施すことが重要です。

色褪せしているとき

「外壁の色が薄くなっている」「建物が古びているように見える」など、色褪せを感じた場合も塗り替えを行うサインです。
ただ汚れているだけであれば、スポンジやブラシなどを使って洗浄することで汚れは落とせますが、
色褪せは塗膜が劣化している状態のため、洗浄してもキレイになることはありません。

色褪せが軽度であればそれほど急ぐ必要はありませんが、
外壁の色褪せが広範囲に渡る場合は美観を損なうだけでなく、
住宅の耐久性にも影響を及ぼす可能性があるため、塗り替えを検討・実施しましょう。

なお、外壁のカラーは赤や黄といった原色系は紫外線を吸収しやすく、より色褪せしやすいといわれています。
一方で白や黒などは色褪せしにくいといわれているため、外壁塗装を実施する際は、
使用する塗料のカラー選びにも気を付けることをおすすめします。

大きいひび割れが見えているとき

外壁に大きなひび割れ(クラック)が見えるなら、塗り替えを行うタイミングです。
具体的には「ひびの幅が0.3mm以上」の場合、専門家への相談や早急な補修・塗装が必要です。
幅が0.3mm未満(ヘアクラック)の軽微なひび割れであれば、まずは様子見でも構いません。
しかしながら、軽微なひび割れであるほうが補修費用などは抑えられる傾向にあるため、
塗装すべきかどうか判断に迷う場合はプロに相談すると良いでしょう。

判断を誤ってしまうと、ひび割れた部分から雨水が建物内部へ侵入する恐れがあります。
劣化が進行すれば外壁材や下地材などの補修も必要になってくるため、早めに塗装したほうが賢明です。

訪問営業の悪質業者に注意

外壁塗装をする際、どこの業者に依頼すればいいか分からず、
訪問営業に来た業者に「話しを聞いてみよう」「依頼しよう」と思ってしまう方もいるかもしれません。

訪問営業を行うすべての業者が悪質というわけではありませんが、言葉巧みに塗装を急かしたり、
契約を促してきたりするような業者には注意が必要です。

具体的には、以下にあてはまる訪問営業には注意しましょう。

  • 適切な調査を行わずに、外壁塗装を促す
  • 「早くしないと大変なことになる」などと不安を煽る
  • なにかと理由をつけて契約を急がせる
  • 「今ならこの見積もりから50%割引できる」など、大幅な値引きをする

他にも、実績がない業者や信頼性が低い業者からの営業トークは鵜呑みにせず、冷静かつ慎重な対応を心掛けてください。

費用の相場は?良い業者を選ぶにはどうすれば良い?

悪質業者に引っかからないよう良い業者を選ぶには、どのような点に気を付ければ良いでしょうか。
ここでは、業者選びのポイントと外壁塗装の費用相場について解説します。

ホームページの施工実績を見る

まずはホームページなどを見て、業者の施工実績を確認しましょう。
施工時のビフォーアフター写真やお客様の感想をアップしていたり、
なかには使用した塗料や工期、費用まで掲載していたりするケースもあります。
自宅の外壁の劣化と近い状態を塗装した実績が見つかる可能性もあり、依頼する際のイメージも抱きやすくなるでしょう。

またホームページでは、以下のような資格を持つスタッフがいるかどうかも併せて確認することをおすすめします。

  • 1級塗装技能士
  • 外装劣化診断士
  • 外壁診断士
  • 雨漏り診断士 など

塗装業を営むにあたって必要な資格はなく、誰でも塗装業者を名乗ることが可能です。
確かな技術を持つ業者へ依頼するには、建設業許可(塗装工事業許可)を取得しているかに加え、
有資格者の在籍状況などを確認することも有効です。

相見積もりをとる

1社だけに見積もりを依頼するのではなく、複数社に見積もりを依頼することが大切です。
外壁塗装の費用には使用する塗料や人件費、足場代などさまざまな項目が含まれており、
外壁の劣化状態や塗装面積によって金額が異なります。
1社だけの見積もりでは本当にその金額が適切か判断することは難しいため、相見積もりを取って比較することが望ましいです。

たとえば、30坪の戸建て住宅における外壁塗装の費用相場はおおよそ60万~100万円です。
しかし、同じ30坪でも家の形状や構造上の違い(2階建て、3階建てなど)によって塗装面積は異なるため、
この相場はあくまでも目安として捉えてください。
相見積もりをとることで、見積もり金額と費用相場の妥当性が判断しやすくなるでしょう。

その業者が工事前に調査をしてくれるかを確かめる

適切な見積もりを作成するにあたって、工事前に現地調査を行ってくれるかどうかを確認することも重要な要素です。

業者のなかには事前調査を行わずに金額を提示する業者も存在します。
しかし外壁塗装にかかる費用は、外壁の劣化状況や塗装面積、塗装箇所の素材などによっても左右されるため、
外壁の状態を正しく見極めなければなりません。
工事前に状態の確認を行わない業者は、信頼性に欠けるといえるでしょう。

業者を選ぶ際は、事前調査、現地調査を行ってくれるか確認することが大切です。
業者によっては無料で調査してくれるところもあるため、費用が発生するかどうかも併せてチェックしておきましょう。

外壁の状態や塗装工事の説明を行ってくれるか確かめる

外壁の状態を丁寧に診断し、塗装工事の内容を素人にも分かりやすく説明してくれるかどうかも良い業者を見極めるポイントです。

たとえば外壁のひび割れや汚れ、劣化状況などを細かくチェックした上で、
「一体どのような処置が必要なのか」「なぜその処置をしなければならないのか」を明確に伝えてくれる業者であれば信頼できます。

また、工事の流れや施工後のアフターフォローに対する説明、質問に対する受け答えでは、専門用語を並べるだけでなく、
きちんと分かりやすい言葉で説明してくれるかどうかにも注目してみましょう。

「○○について説明を受けていない・知らなかった」などの理由から、
トラブルに発展しないよう、納得できる説明が得られるかをチェックしてください。

雨漏りの発生など緊急時の対応

「雨漏り」と聞くと一般的には屋根からの雨漏りを想像しがちですが、外壁に問題があって雨漏りに発展するケースもあります。

しかし、素人にはその雨漏りが屋根からなのか、それとも外壁からなのか判断することは難しいため、
緊急時にはプロの業者に診断を依頼することが望ましいです。

雨漏りの原因究明や、外壁材・屋根材などへの影響を精査する必要があるため、
業者選びでは「外装劣化診断士」の資格を有したスタッフが在籍しているか確認することをおすすめします。

雨漏りは、外壁の塗り替えで済む場合もあれば、屋根の修理や交換、塗装が必要になるケースもあります。
少しでも長く快適に暮らせるよう、雨漏りの発生など緊急時に備え、
どこの業者に依頼するかあらかじめ目星を付けておくと良いでしょう。

まとめ

「外壁塗装はまだするな」といわれるのには、「劣化状態が軽微」「季節が適していない」など、きちんとした理由があります。
外壁塗装を検討する際は、「春期・秋期」「前回の塗装から10年以上経過している」など、
実施に適したタイミングかどうか確認してみると良いでしょう。

業者選びでは、施工実績の確認や相見積もりを取るなど業者の情報収集に努め、悪質な業者にひっかからないよう注意してください。