外壁塗装に適した時期・季節はいつ?塗り替え周期の目安も解説!

外壁塗装は、住宅の美観と耐久性を保つために欠かせないメンテナンスです。塗装に適した時期や塗料によって異なる塗装周期など、理解しておくべきポイントはいくつもあります。

本記事では、外壁塗装に適した時期やシーズンごとの特徴について分かりやすく解説します。塗り替えを行う目安や塗装を長持ちさせるためのコツなども併せて紹介しますので、塗り替えを検討している方はぜひ最後までご覧ください。

外壁塗装を行う時期の目安|10年は早い?

外壁塗装のタイミングは、住宅の美観や耐久性などの面から「前回の塗装から10年以上経過した頃」が一般的な目安とされています。
しかし、すべての住宅にあてはまるわけではなく、塗料の種類や劣化状況によって異なるため、まずは適切な塗装周期や塗り替えを判断するための基準について解説します。

外壁塗装の耐久性や塗装の周期は塗料によって異なる

塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ原料が違うことで耐久性も異なります。耐久性の違いは塗装周期にも影響を与えるため、使用する塗料に応じて適切なタイミングで塗装を実施することが求められます。

主に代表的な塗料の耐久性(目安)は次の通りです。

種類 耐用年数
アクリル塗料 3~7年
ピュアアクリル塗料 15~20年
ウレタン塗料 7~10年
シリコン塗料 10~15年
フッ素塗料 12~20年
無機塗料 20~25年
低汚染塗料 15年以上
ラジカル塗料 12~15年
光触媒塗料 15~20年
ナノテクノロジー塗料 10~15年

例えば、アクリル塗料の耐久性は3~7年と短めですが、シリコン塗料は10~15年、無機塗料なら20~25年の耐久性が期待できます。10年で塗り替えを検討する場合、使用する塗料によっては「遅い」「まだ早い」とされることがあるでしょう。
塗料の特性を理解し、それに合わせたメンテナンス計画を立てることが大切です。

年数に関係なく塗り替え時期と判断すべき症状もチェック

塗料の耐久性に応じた塗装周期はあくまでも目安のため、耐用年数に達していないからといってまだ塗装しなくても良いというわけではありません。地域や住宅の環境などによって劣化状況は異なるため、年数にかかわらず外壁に異常を感じたら塗り替えを検討すべきです。

例えば、外壁に次のような症状が現れた場合は、塗装を行う時期だと判断したほうが良いでしょう。

  • 色褪せ・変色
  • ツヤ落ち
  • コケ・カビ・サビの発生
  • ひび割れ
  • チョーキング(外壁に触れると白い粉のようなものが手に付着する)
  • 塗膜の剥がれ・膨れ
  • シーリングの劣化 など

これらの劣化をそのままにしておくと、美観が損なわれるだけでなく雨漏りなどの被害を引き起こす可能性があります。
住宅からのSOSサインを見逃さないよう注意しましょう。上記のような季節以外に外壁塗装をするべき判断基準について、以下の記事もご覧ください。
>>外壁塗装はいつ行う?「まだするな」と言われる理由や判断の基準を紹介

外壁塗装にふさわしい季節は春・秋?ベストシーズンを解説 

外壁塗装に適した季節としてよく挙げられるのが、春と秋です。理由は、天候が比較的安定していることで塗料が乾きやすく、施工スケジュールも予定通りに進みやすいからです。

外壁塗装は屋外で実施するため、天気や気候は重要なポイントのひとつ。梅雨や台風などのシーズンを避け、天候が落ち着いた時期を選択することで、悪天候による工事の中断や延期を防ぎ、工事をスムーズに進められるでしょう。
また、塗料が雨水と混ざる・乾燥がうまくいかないなどによる施工不良も起こしにくいため、塗料の本来の耐久性が発揮されやすいと考えられます。

このことから春と秋は、外壁塗装にとって理想的な環境が整った「ベストシーズン」とされています。

しかしながら気温や湿度に気を付け、雨などを避けることができれば、外壁塗装は基本的にどの季節でも可能です。施工業者に相談の上、適切な施工計画を立てれば春や秋以外の実施でもそれほど心配することはありません。

外壁塗装にふさわしくない月はある?

春や秋が外壁塗装に適した季節とされる一方で、外壁塗装にふさわしくない月はあるのでしょうか。一般的に、外壁塗装にふさわしくないとされる条件とその理由は以下の通りです。

条件 理由
気温5度以下 乾燥に時間がかかる・結露が起きやすくなることなどから、色ムラやひび割れなどが生じる
湿度85%以上 乾燥に時間がかかったり、塗膜の粘着力が低下したりする恐れがある
塗装面の温度が高い 塗膜に気泡が生じやすく、見た目に影響を与えるだけでなく塗料の性能が落ちる
雨や雪 湿度が高くなることに加え、塗料に不純物が混ざったり塗料が流れて耐久性が低下したりする
工期スケジュールに変更が生じる可能性もある
塗装面に結露がある 乾燥に影響を与えるほか、塗膜がしっかりと固着せず、剥がれや膨れのリスクにつながる

地域の特性や天候などによって条件にあてはまる月は異なるため、一概に「○月は外壁塗装にふさわしくない」とは言い切れません。条件や状況を確認しながら判断することが好ましいです。

外壁塗装の時期|季節ごとに見るメリット・デメリット

気温や湿度などいくつかのポイントに注意すればいつでも実施可能な外壁塗装ですが、季節ごとにメリットやデメリットは異なります。ここでは、春・夏・秋・冬それぞれの季節に外壁塗装を実施する際の特徴について解説します。季節の特性に合わせた適切な計画を立てましょう。

春に外壁塗装をする場合

気温・湿度がともに比較的安定しており、外壁塗装に適した季節のひとつです。湿度が高くないため、塗料が適切に乾燥しやすいメリットがあります。
多くの場合、施工時は窓を閉めておく必要がありますが、窓を閉め切っていても過ごしやすい気候であることはうれしいポイントでしょう。春の心地よい気候は作業環境にも優れているため、職人の作業効率も高まるかもしれません。

一方デメリットは、偏西風の影響などにより春は天気が変わりやすい一面もあり、雨や強風などによって工期が延びる可能性があることです。
さらに外壁塗装に適した時期でもあるため塗装業者は繁忙期となり、施工スケジュールが希望通りに押さえられないことも考えられます。

夏に外壁塗装をする場合

梅雨や台風のシーズンでもあるため、天候(雨など)や湿度に気を付ける必要はありますが、その分業者の予約が取りやすく外壁塗装を依頼しやすいタイミングです。気温が高く、塗装面が高温になっている場合を除けば、塗料の伸び・乾きともに優れた時期であり、作業をスムーズにサクサクと進めやすい点がメリットです。

デメリットは、梅雨・台風のタイミングと重なることで工期が延びてしまう可能性があることです。本来1~2週間で終わるはずだったものが、1カ月以上かかるケースもあります。
さらに施工中は窓を開けられないだけでなく、室外機をカバーで覆うことも少なくないためエアコンが使えず、暑さとの闘いになることもあります。業者によっては、換気やエアコンが使えるように工夫してくれるところもあるため、事前に確認しておきましょう。

秋に外壁塗装をする場合

気温・湿度がともに安定しており、春のシーズン同様外壁塗装に適した季節のひとつです。空気が適度に乾燥しており塗料も均一に乾きやすく、仕上がりにも期待できるでしょう。
大きな天候の崩れも少なく、工期がスケジュール通りに進みやすいこと、窓を閉め切った状態でも比較的過ごしやすい気候であることもメリットです。

デメリットは、タイミングによっては台風やゲリラ豪雨などと重なり、工期スケジュールに変更が生じる可能性があることです。徐々に日が落ちるのも早くなっていくことから、作業時間が限られてしまうことも考えられます。
また、外壁塗装に適した時期でもあるため塗装業者は繁忙期となり、施工スケジュールが希望通りに押さえられない可能性があることも難点といえるでしょう。

冬に外壁塗装をする場合

地域によって差はあるものの、天候が安定しやすく空気が乾いているため塗料の乾燥に適したタイミングです。寒気が入らないよう普段から窓を閉め切っていることも多く、塗装で窓が開けられなくてもそれほど不便は感じないでしょう。
夏場同様、業者の予約が取りやすく希望通りに施工スケジュールを押さえやすい点もメリットです。

一方デメリットは、気温が5度以下の場合や結露がある場合などは塗装ができないことです。さらに日照時間が短いため、春や夏頃と比較すると作業時間も短く、作業の進み具合にも差があるでしょう。

定期的に外壁塗装をするメリット2選

劣化が目立ってきたタイミングではなく、普段から定期的に外壁塗装を実施することで得られる効果はさまざまです。
定期的な外壁塗装がもたらすメリットを2つ取り上げて解説します。

(1)防水性を高め、家を劣化から守れる

定期的に外壁塗装を施すことで住宅の防水性が向上し、劣化から家を守れます。外壁は雨風や紫外線に常にさらされているため、メンテナンスを怠ると塗膜が経年で劣化し、ひび割れや剥がれが生じやすくなります。ひび割れた部分から雨水が入り込めば、住宅の建材が腐食する原因にもなりかねません。

しかし外壁に使用するすべての塗料には防水性が備わっているため、定期的に塗装を行うことで外壁の防水性が高まり、その結果、ひび割れや雨水の侵入を防いで家をしっかりと守れます。

定期的なメンテナンスは見落としがちな劣化を早期に発見する機会でもあるため、大規模な修繕を回避しながら補修費用を抑える効果も期待できるでしょう。

(2)家の外観を美しく保てる

定期的に外壁塗装を行うことは、住宅の美観を保つ上でも重要です。外壁は手入れをしないでいると、経年劣化で色あせや汚れが目立つようになり、せっかくこだわりを持って建てた住宅も周囲に古びた印象を与えてしまいます。

しかし定期的に塗装していれば、新築時のような鮮やかで清潔感のある外観を長く維持することが可能です。新築時とは異なるカラーを選択すれば、住宅のイメージがガラリと変わり、新たな気持ちで暮らしをスタートさせる良いきっかけにもなるでしょう。

住宅の資産価値は管理やメンテナンスによって左右されるため、外壁塗装によって外観を美しく保つことは、資産価値の維持にもつながります。

なるべく節約したい!外壁塗装を長持ちさせる2つのコツ

外壁塗装は何度も行うとコストがかさむため、節約したい方は塗装を長持ちさせる工夫が必要です。「塗料選び」と「メンテナンス」にポイントを絞った外壁塗装を長持ちさせるためのコツを確認してみましょう。

(1)適切な塗料を住宅に合わせて選ぶ

外壁塗装を長持ちさせるコツは、住宅の外壁と相性の良い塗料を選択・使用することです。耐用年数そのものが長い塗料を選ぶこともひとつの方法ですが、外壁材に合ったものでなければ、せっかく耐用年数の長い塗料を選んでも塗装は剥がれやすくなってしまいます。
自宅の外壁材が、使用する塗料メーカーの推奨するものと一致しているか確認し、最適な塗料を選びましょう。

また、住宅の環境に適した塗料を選ぶことも大切です。例えば、日差しが強く夏場の気温が高くなりがちな地域であれば遮熱性の高い塗料を、雨が多い地域や海辺に近く潮風の影響を受けやすい地域なら防錆性がある塗料を選ぶことで、外壁の劣化を防ぎ、塗装を長持ちさせられるでしょう。

(2)自分でできる範囲のメンテナンスをする

普段からのメンテナンスも外壁塗装を長持ちさせることにつながります。例えば、定期的に外壁を掃除して汚れやカビを取り除いたり、小さなひび割れや剥がれが見つかった場合は必要に応じて簡単な部分補修をしたりするなどです。
常日頃から外壁の状態をチェックし、ちょっとした問題を放置せず自分でできる範囲内で対処することが、大規模な修繕や塗装を回避することにもつながります。

外壁塗装の結果に満足するための注意点

塗装工事は時間と費用がかかるため、仕上がりに不満を感じても頻繁にやり直すことは難しいのが現実です。では、外壁塗装の結果に満足するためにどのような点に注意すればよいか、具体的に解説します。

悪質な業者に依頼しないよう注意する

外壁塗装を成功させるには、信頼できる業者選びが不可欠です。季節ばかりに気を取られて業者選びがおざなりになると、いくらベストシーズンに塗装しても満足できる結果になるとは限りません。

例えば工事中に雨が降った場合、優良な業者であれば、塗料が適切に塗布できるよう下地が乾いたタイミングを見極めて塗り直しをしてくれるでしょう。しかし悪質な業者であれば、工事のスピードを重視して下地が乾ききっていない状態で作業を進めるかもしれません。
たったひとつの作業の違いで、仕上がりに大きな差が生まれる可能性があります。

外壁塗装の結果に満足するためには、イレギュラー時の対応力はもちろん、工事に関する説明の丁寧さや見積書の妥当性などいくつかのポイントを確認し、悪質な業者に依頼しないよう注意しましょう。

まとめ

外壁塗装に特に適している季節は春と秋ですが、気温や湿度、雨などに配慮すれば1年を通していつでも施工できるため、季節ごとの特性を理解した上で適切な施工計画を立てましょう。
ただし季節ばかりに気を取られていると、知らぬ間に悪質業者へ依頼してしまうリスクもあります。外壁塗装の結果に満足できるかは「優良な業者への依頼」がカギを握るため、適切な塗装周期や塗装にふさわしくない条件などさまざまな知識を身に付け、悪質業者に依頼しないよう注意してください。