屋根塗装は自分でできる?しないほうが良い理由も解説

屋根塗装を検討している人の中には、DIYして費用を抑えたいと考えている人もいるでしょう。
しかし自分一人で作業するとなると、安全面やクオリティ面などでリスクを伴います。

この記事では、屋根塗装を自分でしないほうが良い理由を解説します。
業者選びのポイントも紹介するので、屋根塗装したいと思っている人は参考にしてください。

屋根塗装を自分で行うのはNG?その理由を解説

結論から述べると、屋根塗装を自分で行うのは避けたほうが良いです。
やり方を間違えてしまうと、自分だけではなく周りの人にも多大な迷惑をかけてしまいます。
屋根塗装を自分で行うのを避けるべき理由について詳しく解説しましょう。

専門業者でさえ事故の恐れがある危険な作業となるため

屋根上での作業は、専門業者でも事故を起こすハイリスクな作業です。
高所作業だけではなく、足場も安定していません。
慣れていない人が屋根の上を動き回ると、足を滑らせて転落する恐れがあります。
「雨や雪が降っていなければ、滑り落ちる心配はないだろう」と思う人もいるかもしれません。
しかし雨や雪以外にも、苔または屋根の破損によって転ぶケースも考えられます。
素人が作業するには、あまりにも危険すぎる環境であることを押さえましょう。

2階建ての高さでも、屋根から転落したら重大な事故に繋がります。
転落したあとに「作業しなければよかった」と後悔しても遅いので、
はじめから自分で屋根塗装(屋根上の作業全般)を行わない方がよいでしょう。

作業には膨大な時間がかかるため

屋根塗装をするには、膨大な時間がかかります。
屋根塗装に精通しており、手順もあらかじめ理解している業者であれば2週間程度で作業は終了します。
しかし素人が一から自分で作業する場合、2カ月以上かかることもあるでしょう。

最初のうちは趣味の感覚で楽しく作業できていても、長期間続けていたらストレスも溜まりやすくなります。
別の仕事をしている人であれば、屋根塗装に時間を割くのもわずらわしく感じるでしょう。

さらに自ら行った作業が失敗に終わると、その状態からやり直してくれる業者はなかなか見つかりません。
プロといえども、素人の作業を修正するのは簡単ではないためです。
最初から業者に依頼したほうが、スムーズに屋根塗装を完了できます。

屋根塗装に必要な多くの道具をすべて揃える必要があるため

屋根塗装を自分でするには、以下の道具を揃える必要があります。

  • 安全用品(足場、安全帯、ランヤード)
  • 清掃用具(バケツ、ブラシ、高圧洗浄機)
  • 塗装用具(塗料、ハケ、ローラー、養生)

まずは安全に作業をするため、足場を取り付けます。
万が一の事故を防ぐには、安全帯やランヤードといった安全用品も必要です。

また塗装を開始する前に、苔などの汚れを落とさなければなりません。
ブラシでの対応も可能ですが、あまりにも汚れが酷い場合は高圧洗浄機を使ったほうが効率的です。
ただし調整を誤ると、屋根の劣化を早めてしまうので注意してください。

実際の屋根塗装は、3回塗りが原則とされています。
3回にわたって塗装するには、下塗り(1回目)用の塗料と、中塗り(2回目)、
上塗り(3回目)用の塗料を準備しなければなりません。

これら全てを揃えるとなると、準備だけでも多くの期間を要します。

近隣トラブルに発展する可能性があるため

屋根塗装は塗料のにおいが広がったり、大きな音が響いたりします。
近隣の住民の中には、作業を快く思わない人もいるでしょう。
自分で屋根塗装をする場合は、自ら近隣の住民へ交渉しなければならず、
工程や作業期間をしっかりと説明できなければ、納得してもらえないこともあり得ます。
また、仮に作業期間の目安を伝えても、予定と大きく差異が生じたらトラブルが起きる可能性もあります。

業者に依頼すれば、このような交渉対応も代わりにしてもらえることが多いです。
近隣の住民とトラブルを避けるためにも、業者に依頼することをおすすめします。

長期的に見ると自分でやったほうが費用がかかるため

プロの業者に依頼するとき、「高額な費用がかかるのでは」と不安に思う人もいるはずです。
しかし長期的に見ると、自分で作業したほうが出費が多くなる可能性があります。

いくら自分で入念に調べたとしても、数々の建物で屋根塗装をしてきた業者のクオリティにはかないません。
屋根塗装は知識だけではなく、経験やスキルなどとさまざまな要素が求められます。
無理に作業して何度も修正が必要となったら、そのたびに出費がかさんでしまうでしょう。

さらに道具も自分で揃えるとなれば、1回の作業で20万〜40万円の費用がかかります。
費用対効果で考えれば、プロの業者に依頼したほうが得策です。
1回あたりの金額だけで決めるのではなく、全体のコストパフォーマンスを考慮するとよいでしょう。

屋根塗装を業者に依頼するメリット

自分で屋根塗装をするよりも、プロの業者に依頼したほうがさまざまなメリットが得られます。
屋根塗装のクオリティを高められるほか、自治体の制度を使えば出費も軽減できます。
これらの内容について詳しく紹介しましょう。

塗装のクオリティが圧倒的に高い

プロの業者に屋根塗装を依頼するメリットは、クオリティが圧倒的に高い点です。
屋根塗装にはスキルの高さが求められ、塗り方が甘いと塗料は剥がれやすくなります。
剥がれるたびにメンテナンスをしていては、時間や労力を無駄に消費します。
作業に嫌気が差せば集中力も続かなくなり、重大な事故も起こしかねません。

さらに屋根塗装には防水性を強化したり、断熱機能を高めたりする効果があります。
つまり屋根塗装のクオリティは、生活の質にも少なからず影響を与えます。
こうした効果を得るためにも、ノウハウのある業者に頼ったほうが望ましいでしょう。

補助金や助成金を利用できるケースがある

国や自治体の制度によっては、業者に屋根塗装を依頼することで補助金や助成金を受けられるケースもあります。
公金をうまく活用しつつ、適正価格で引き受けてくれる業者と契約を結べば負担もある程度は軽減できます。

助成金の例として、東京都葛飾区主体の「かつしかエコ助成金」を紹介しましょう。
令和5年度かつしかエコ助成金では、屋根などに高反射率塗装した住民に対して助成金が支給されました。
個人住宅の場合は対象経費の4分の1か「施工面積×1,000円」のいずれか低い方が助成されるのが特徴です(上限20万円)。

補助金や助成金の有無については、各自治体に問い合わせてください。

屋根塗装を業者に依頼するデメリット

屋根塗装を業者に依頼するデメリットを強いて挙げれば、作業1回あたりのコストが高くなりやすい点です。
一般的に40万円以上の費用がかかるため、用意するのが難しいと感じる人もいるでしょう。

しかし自分で作業しても、一定額の費用はかかります。
万が一屋根から転落した場合、治療費や入院費などと想定外の出費を要する可能性もあります。
見積書の金額のみで判断するのではなく、長期的な目線を持って判断することが大切です。

屋根塗装を業者に依頼する際に費用を抑える方法

屋根塗装を業者に依頼したほうが全体的なコストを抑えられるとわかっていても、
1回あたりの工事を安く済ませたいと考えている人もいるでしょう。
ここでは、業者に依頼する場合において費用を抑える方法を紹介します。

塗料は「安さ」ではなく「コスパの良さ」で選ぶ

まず意識してほしいポイントは、「安さ」ではなく「コスパの良さ」を重視して塗料を選ぶことです。
塗料にもさまざまな種類があり、中には単価の安いものも存在します。
ただし安価な塗料は、高価な種類と比べると基本的に長持ちしません。
価格だけで選ぶと、何度もメンテナンスが必要になる可能性が高いです。

プロの業者と相談すれば、どの塗料を選んだほうが望ましいかを詳しく教えてくれます。
なるべくコストを下げたいときは、安価ではあるものの長持ちする塗料はないかを尋ねてみましょう。
相談する際には、業者が扱っている塗料ごとの見積もりをもらうこともおすすめします。

人件費や広報費にコストをかけすぎている業者は避ける

人件費や広報費にコストをかけすぎている業者を避けることも挙げられます。
これらの費用を補うべく、依頼主に高額で請求する可能性があるためです。

とはいえ、どの業者も人件費や広報費にはある程度のコストをかけています。
ここで注意したいポイントは、並外れたコストをかけているか否かです。

一般的には、企業の規模が大きくなるほど人件費や広告費の相場も上がります。
また、下請け企業へ外注するケースも多く、マージン(仲介手数料)が高く設定されることもあります。
ただし大手には大手の良さがあるため、メリットとデメリットを比べた上で判断するようにしましょう。

複数業者に相見積もりを依頼する

屋根塗装の費用を抑えるには、相見積もりを依頼することも重要です。
複数の業者から同じ条件で見積もりを出してもらえれば、どこに依頼したほうがよいかを判断しやすくなります。
加えて、屋根塗装の工事にかかる費用相場を把握できます。

相見積もりは、屋根塗装以外にもさまざまな取引で用いられる方法です。
他の業者と比較した結果、依頼を断ったとしても全く問題ありません。
ただし元々依頼するつもりがないにもかかわらず、見積もりだけ依頼するのは避けてください。
また受け取った見積書を、他社に見せるのもNGとされているので注意が必要です。

アポなし訪問業者は避ける

アポなし訪問業者は避けたほうが賢明です。
アポなし訪問業者とはアポイント(約束)していないにもかかわらず、突然訪問してセールスする業者を指します。
悪徳業者であるケースが多く、いざ契約を結んでみたら相場よりも倍近くの費用を後から請求される恐れもあります。

このように業者が突然訪ねてきた場合は、対応しないで帰ってもらうようにしましょう。
下手に応じてしまうと、今後も執拗に訪問してくるリスクが高まります。
「すぐに工事しないと危険だ」と契約を急かされても、相手の口車には乗らずにしっかりと断りましょう。

屋根の劣化が気になってきたら「葺き替え」もおすすめ

屋根の劣化が気になったら、葺き替え工事も検討してみてください。
葺き替えとは、屋根材を古いものから新しいものへ取り替える作業のことです。
主な例としては、瓦屋根から金属屋根に交換する工事が挙げられます。

上記のように葺き替え工事では、単純に屋根材を新しくするだけではなく別の種類への交換も可能です。
仮に建物の耐震性を高めたいのであれば、以前よりも軽量な屋根材を選ぶといった方法があります。

また下地であるルーフィングの状態を見てもらえることも、葺き替え工事のメリットです。
雨漏りを防ぐ上では、主にルーフィングが重視されます。
屋根材を剥がせばルーフィングの状態を確認しやすくなるため、下地も見てもらいたいのであれば
葺き替え工事を依頼してみるのもよいでしょう。

葺き替えにおすすめの屋根材

最後に葺き替え工事におすすめの屋根材を紹介します。
それぞれの特徴を押さえた上で、どの種類を選ぶかを決めるようにしましょう。
ここでは、屋根材の特徴に加えて採用するメリットとデメリットをまとめます。

ガルバリウム鋼板

長期間使える屋根材を選びたいのであれば、ガルバリウム鋼板がおすすめです。
不燃材料で軽いのが特徴であり、耐火性や耐震性を強みとしています。
また金属で水を弾きやすく、サビにくい点もメリットのひとつです。

一方で、ガルバリウム鋼板は断熱性が低いというデメリットもあります。
熱が外に逃げにくく、室内が暑くなりやすいのであらかじめ対策が必要です。
断熱性を高めるためには、ガルバリウム鋼板の裏側に断熱材が貼り付けられている「断熱材一体型ガルバリウム鋼板」を選ぶことをおすすめします。

スレート

ガルバリウム鋼板以外にも、軽量の屋根材としてスレートが挙げられます。
厚さは約5mm程度であり、耐震性が高いのが特徴です。
初期コストも安いほうであり、比較的リーズナブルな値段で葺き替え工事を施工できます。

スレートのデメリットは、暴風や豪雪によって割れやすい点です。
耐久性が低い素材であるため、メンテナンスの頻度も高くなります。
また塗装が劣化すると、水分を多く吸収してしまいます。
結露が生じやすくなり、劣化スピードもさらに早まるため注意してください。

金属屋根

金属屋根のメリットは、水分を基本的に吸収しない素材であるため防水性に優れている点です。
また、屋根材に使われる金属はさびにくい金属が使われることと、さびやすい金属には表面にメッキを施すことで防錆しているためサビに強い性質を持ちます。
他にもガルバリウム鋼板と同じく、耐火性や耐震性が高い点もメリットのひとつです。

一方で金属屋根には、遮音性が低いというデメリットもあります。
雨が屋根に当たると音が反響しやすく、室内にいると騒がしくなりやすいのが注意点です。
また断熱性も低いため、夏場の時期は室温が上がりやすくなるので気を付けなければなりません。

トタン

トタンは別名「亜鉛メッキ鋼板」と呼び、亜鉛メッキが施されている薄型の屋根材です。
こちらも軽量であるため、建物の耐震性を高めるのに役立ちます。
また安価で採用できる屋根材であり、初期コストを抑えたい人にもおすすめです。

一方でトタンも他の金属屋根と同様に、雨によって音が反響しやすくなります。
台風などの影響で強い雨が降った場合、室内が騒がしくなる可能性もあります。
加えてメッキが剥がれてしまうと、サビが発生しやすくなるため欠かさずチェックする必要があります。

アスファルトシングル

アスファルトシングルは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させてつくります。
表面には石粒がコーティングされており、防音性を高める役割を担うのがポイントです。
アスファルトシングルの素材は柔らかく、割れにくいという性質も持ちます。

一方で暴風が弱点であり、コーティングされた石粒が落ちることもあります。
石粒が落ちると劣化を早めてしまうため、台風の多い時期は特に注意しなければなりません。
さらに苔が生えやすい素材であり、定期的な清掃も必要です。

まとめ

この記事では、屋根塗装を自分でするのはおすすめしない理由について説明しました。
屋根塗装は高所での作業になるほか、専門的なスキルも求められます。
無理に自分で対応しようとせず、プロの業者に依頼すればコストパフォーマンスも高められます。

依頼する際には、相見積もりを取ってもらうことが重要です。
ただし業者の中でも、アポなし訪問業者は避けるようにしてください。
屋根の劣化が気になるときは、葺き替え工事を依頼することも考え方のひとつです。
併せて検討するのをおすすめします。