【事例あり】屋根修理に使える補助金はある?条件・申請手順も解説

屋根修理を検討しているものの、出費が多いため補助金に頼りたいと考えている人もいるでしょう。
この記事では屋根修理にかかる補助金について、条件や申請手順を中心に解説します。

なお自治体によっては、助成金として事業を実施しているところもあります。
両者の主な違いは、受給にかかるハードルの高さです。
補助金は予算との兼ね合いも考慮されるため、問題なく申請したところで必ずしも交付されるとは限りません。
一方で助成金は、支給要件を満たせば基本的には受給できます。

屋根修理で利用できる助成金については、以下の記事でまとめているので併せて参考にしてください。
>>【都道府県別】屋根塗装で助成金は利用できる?助成金の条件・注意点も解説

屋根修理で補助金制度が使えるケースとは

屋根の修理で補助金が使えるケースは、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 耐震性アップが目的の工事
  • 省エネが目的の工事

それぞれに該当する補助金を紹介するとともに、具体的な条件についても取り上げてみましょう。

耐震性アップを目的とした工事

まず補助金の対象となりうるのが、耐震性アップを目的とした工事です。
地震に強い建物をつくるには、屋根の重さにも注意しなければなりません。

壁や柱の強度に対して重量のある屋根材を使ってしまうと、建物全体のバランスが悪くなります。
建物が激しく揺れやすくなり、倒壊のリスクを高めてしまうため大変危険です。

こうしたリスクを防ぐべく、耐震性アップにかかる補助金制度がさまざまな自治体で行われています。

条件

補助金の条件については、各制度によって細かく異なります。
ここでは、一般的なケースについて解説しましょう。

耐震性アップにかかる補助金を受け取る条件は、昭和56年5月31日までに建築確認を受けた木造住宅であることが一般的です。
この時期を境に耐震関係基準が見直されており、昭和56年5月31日以前の建築は耐震性が比較的低いことを理由としています。
木造住宅であり、地上3階建て以下かつ木造部分が2階以下であることが条件となる場合もあります。

さらに元々の耐震指標が低く、工事後に改善されているかも重視されるポイントのひとつです。
耐震指標は、一般的に1.0を下回ると「倒壊する可能性がある」と判断されます。
自治体によって基準が変わりますが、基本的には1.0以上で設定されています。

省エネを目的とした工事

耐震性以外にも、省エネを目的とした工事も補助金を交付される可能性があります。
現代社会において、特に問題視されているのが地球温暖化です。
こうした問題に取り組むべく、リフォームによって温室効果ガスを抑えたり、人体に有害な物質を除去したりする建物もつくられています。

省エネを目的とした工事で補助金が交付される事業の例が、国土交通省が実施している住宅省エネ支援事業です。
他にも、各自治体でさまざまな補助金制度が独自に行われています。

条件

耐震工事と同様にどの制度を利用するかで条件は異なりますが、省エネ対策のためにリフォームしたと認められることが重要です。
屋根修理をする際にも、一般的には断熱改修工事をした建物が補助金の対象となります。

他にも太陽パネルを屋根に設置することで、補助金が交付される制度もあります。
太陽光パネルに関連する事業は、基本的には自治体が主体です。
自分の住んでいる自治体が当該事業を実施しているか、あらかじめ担当の部署に確認してみるとよいでしょう。

一方でアスベスト(人体にとって有害とされている鉱物繊維)が除去されているかが、判断基準になる場合もあります。
条件は申請先が提示しているので、各補助制度のルールも併せて各自で調べておきましょう。

屋根修理で補助金が使えないケース

屋根修理で補助金を受けるには、耐震性の向上や省エネ対策といった目的を果たす必要があります。
経年劣化による雨漏りを修繕しただけでは、補助金は適用されません。
そのため屋根葺き替え工事や屋根カバー工法は、原則として補助金制度の対象外です。

また制度が実施されるか否かは、国や自治体の予算にも影響します。
昨年度まで実施されていた制度が、今年度から廃止されることもあります。
国または自治体の情報を見て、今年度も実施されるのを確認してから手続きしましょう。

屋根修理の補助額相場はいくらくらい?

屋根修理にかかる補助額の相場も、自治体や制度によって異なります。
自分の住んでいる自治体の情報を知りたいのであれば、公式サイトをチェックするか、担当部署に問い合わせてみてください。
ここでは、全体的な補助額相場を紹介します。

まず省エネリフォームに関しては、導入する機器によって補助額が異なるのが基本です。
太陽光パネルや断熱材といった設備ごとに3万〜10万円の補助金が交付され、上限50万円あたりが相場となります。

耐震リフォームの場合は、上限100万円が目安になることを押さえておきましょう。

【国土交通省】長期優良住宅化を目的とした工事に対する補助金

国土交通省が主体となって行っている補助事業のひとつが、長期優良住宅化リフォーム推進事業です。
長期優良住宅とは、長期にわたって使用できる構造となっている住宅を指します。
自然災害に対する備えや高齢者への配慮などの対策を講じている住宅が、補助金の対象となります。

この事業では最大で100万円まで交付されるのがポイントです。
長期優良住宅(増改築)認定を取得したら200万円まで交付されます。
さらに子育て世帯や若者世帯に該当するなど、一定の要件を満たすと上限が50万円分引き上げられます。

国土交通省は、令和6年度も当該事業にかかる予算を要求しました。
引き続き事業が実施される予定であるため、今後も情報を随時確認しておくとよいでしょう。

【都道府県別】屋根修理で使える補助金の条件や限度額

次に屋根修理で使える補助金について、都道府県別で実施された事業を紹介します。
それぞれ独自の事業となるものの、申請条件や補助額などで共通している部分も見られます。
ここで取り上げた内容を参考にしつつ、自分の住んでいる自治体についても調べてみてください。

東京都の場合

東京都全体では、令和5年に「東京都既存住宅省エネ改修促進事業」が実施されました。
東京都住宅政策本部が主体であり躯体に断熱材などを取り入れたり、住宅全体が省エネ基準を満たしたりする場合が対象です。

補助率23%、補助額の上限(省エネ基準相当の場合)が戸建住宅で一戸あたり76万6,000円となっています。
令和6年度の実施については未定となっていますが、決まり次第公表される予定であるため東京都住宅政策本部の情報を定期的に確認してみましょう。

さいたま市の場合

さいたま市では、「『スマートホーム推進・創って減らす』機器補助金」が実施されています。
屋根(既築の屋根面のみ)に高遮熱塗装をしたり、太陽光発電設備を取り入れたりしたときに交付されるのが特徴です。

高遮熱塗装を施した場合は、塗装面積1㎡あたり400円(上限額2万円)が交付されます。
令和6年度の情報は2月時点では公表されていませんが、10年以上にもわたり継続している事業であるため今後の情報も確認しておきましょう。

横浜市の場合

横浜市では、個人が所有する木造建築物を耐震リフォームした際に補助金を受け取れる可能性があります(横浜市木造住宅耐震改修促進事業)。
この事業の対象となる条件は次のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられている
  • 耐震診断の点数が1.0未満と判断された住宅(工事で1.0以上となったときに対象)

なお補助金の上限は、100万円(非課税世帯は140万円)とされています。
ただし、単なる建替え工事は対象にならないため注意してください。

小田原市の場合

神奈川県小田原市では、「木造住宅耐震改修費補助金」を実施しています。
昭和56年5月31日以前に建てられた建物が対象で、同年6月1日以降に増改築したものは除きます(増築した床面積が、延べ面積の2分の1以下であれば対象)。

また工事前の耐震診断が、1.0未満であることも主な条件です。
工事後に1.0以上まで改善できたら補助金が交付されます。
補助額は改修費補助金の場合、上限85万円です(補助率は2分の1)。
一方で段階的な改修工事となると、初回上限額が65万円となります。

加えて工事監理費に関しても、補助金が交付される可能性があります(上限額15万円かつ補助率3分の2)。

大阪市の場合

大阪市では、住宅の改修工事においてさまざまな補助制度を用意しています。

耐震改修工事を行うと、平成12年5月31日以前に建てられた建物を中心に補助金を受けられる場合があります。
この場合の補助率は50%であり、上限額は一戸あたり100万円です。

また省エネ改修にかかった費用も、補助金によってカバーできるケースもあります。
この事業の対象となる建物は、昭和56年6月1日以降に工事を始めたものです。
補助額は省エネ基準レベルで、上限30万円(補助率40%)となります。

屋根修理で補助金を受け取る方法

屋根修理で補助金を受け取るための、一般的な流れは次のとおりです。

  • 自治体のパンフレットを確認・申請書ダウンロード
  • リフォーム業者を選ぶ
  • 申請書および必要書類を自治体に提出
  • 交付が認められた場合、交付決定通知書が送付される
  • リフォーム工事着手
  • リフォーム業者からもらった工事完了届を自治体に提出
  • 補助金の交付

まずは手続きを始める前に、担当職員から補助金制度の説明を受けるようにしましょう。
自治体ごとにルールが異なる場合もあるので、どのように申請すべきかをある程度理解しておく必要があります。

順序を誤ってしまうと、たとえ工事が完了しても補助金が交付されないケースもあります。
自分一人で進めるのではなく、担当職員に随時確認してください。

屋根修理で補助金制度を使う際の注意点

国や自治体が用意している補助金制度は、交付するためのルールも細かく定められています。
助成金よりも審査が厳格であるため、申請が拒否されるケースも珍しくありません。
補助金制度を使う前に、ここで説明する注意点は最低限押さえてください。

基本的には「施工前」の申請が必要

補助金制度を利用するには、原則として「施工前」の申請が必要です。
工事が完了したあとに申請しても、基本的に補助金は交付されません。

事前申請を原則としている理由は、工事前と工事後の状態を確認したうえで交付対象者を決めているためです。
順序に気をつけながら手続きを進めてください。

また補助金を申請しても、審査に通過できないケースも考えられます。
特に応募が多く集まった場合は、予算の都合上抽選によって交付対象者が決まります。
先に工事を進めてしまったら、抽選から漏れても引き返せなくなるので注意が必要です。

補助金を前提にするのは望ましくありませんが、交付が決まった場合のみ工事したいのであれば、
審査の結果を待ってから動くようにしましょう。

税金の未納や暴力団との関係があると補助金制度を利用できない

税金が未納の人は、補助金制度を利用できません。税金が発生しているのであれば、納めた状態で補助金の申請をしましょう。
納税は、日本国憲法にも定められている国民の義務です。
義務をしっかりと果たし、初めて国や自治体から支援が受けられることを念頭に置いてください。

加えて、暴力団および反社会的勢力との関係がある場合も補助金は交付されません。
国や自治体から支給されるお金が、公序良俗違反に活用されるのを阻止するためです。

これらのルールは、屋根修理以外の補助金にも共通して適用されます。
今後も生活する上で、自治体から何か支援を受けることもあるでしょう。
屋根修理にかかる補助金が適用された後も、このような条件も覚えておくのをおすすめします。

補助金を利用しないほうがコストを抑えられるケースも

場合によっては、補助金を利用しないほうがコストを抑えられることもあります。
補助金の申請は提出する書類も多く、手続きを手伝うだけでも負担がかかるものです。
申請のサポートまでをも提供してくれる業者は、簡単には見つかりません。

依頼主側は業者1社を見つけるのが精一杯となり、相見積もりを取る余裕がなくなります。
競合が他にいない場合、相場よりも高い金額で請求されるケースも考えられます。
補助金が交付されても、出費がかさんでしまったら意味がありません。

屋根修理を依頼する際には、補助金を前提に考えないようにしましょう。
あくまで一番の目的は、費用対効果が高い状態でリフォームしてもらうことです。

まずは、適正価格で工事してくれる業者を探すことをおすすめします。
その上で補助金申請のサポートについて、可能な範囲で依頼してみるとよいでしょう。

補助金制度を利用した詐欺に注意

世の中には自治体を装って、相手を騙す詐欺師も少なからずいます。
突然電話やメールで連絡が来ても、徹底的に無視してください。

そもそも補助金制度は、住民からの申請があって初めて手続きが進むものです。
申請がないにもかかわらず、自治体から連絡をすることは基本的にありません。

仮に連絡を行ったところで、正式な申請は自治体の窓口で行います。
キャッシュカードやクレジットカードの暗証番号を電話口で確認するようなことはありません。
たとえこれらの情報を尋ねられても、絶対に教えないでください。

詐欺の手口も、どんどん巧妙化しています。
詐欺の被害に遭わないためにも、自治体の正しい電話番号やメールアドレスを確認および登録しておいたほうが賢明です。

まとめ

この記事では、屋根修理にかかる補助金制度の内容を解説しました。

補助金は、主に耐震性の向上や省エネ目的といった条件に該当する場合のみ交付されます。
修繕目的で屋根葺き替え工事などをしても、原則として対象にはなりません。
自治体によって基準も細かく変わるので、ホームページなどを参考にルールを確認してみてください。

状況によっては、補助金制度を利用しない方が全体のコストを抑えられることもあります。
補助金をメインに考えるのではなく、適正価格で屋根修理してくれる業者探しを優先してください。