屋根の修理費用は、施工内容や業者によって大きく異なります。
適切な価格で屋根を修理するためには、費用相場を押さえておくことが大切です。
本記事では、屋根の修理にかかる費用を部分修理と全面改修に分けて解説します。
業者の探し方や火災保険適用の有無についても紹介しますので、
屋根の修理を検討している方はぜひ最後までお読みください。
- 目次
- 屋根修理前にチェック!メンテナンス頻度やおすすめの屋根素材は?
- 耐震性に強い「ガルバリウム鋼板」がおすすめ
- 屋根修理の種類と費用相場
- 部分修理の場合の費用相場
- 瓦の補修
- 棟板金の交換
- 漆喰補修
- 雨樋交換
- 全面改修(リフォーム)の場合の費用相場
- 塗装
- カバー工法
- 葺き替え
- 屋根修理で失敗しない!業者の探し方
- 複数の業者に相見積もり
- 飛び込み営業や悪徳業者に注意
- 屋根修理は火災保険を適用できる可能性も
- 屋根修理を自分でしない方が良い理由
- まとめ
屋根修理前にチェック!メンテナンス頻度やおすすめの屋根素材は?
雨漏りや屋根の色褪せなど、目に見えて何か不具合が起こった場合に検討する屋根の修理。
しかし、大切な家を守るためには修理が必要になってからではなく、あらかじめ定期的にメンテナンスすることも大切です。
屋根材には大きく分けて、「スレート」「瓦」「金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタン)」「アスファルトシングル」があります。
屋根材の種類によって必要なメンテナンスのタイミングは異なるため、自宅の屋根材には何を使用しているのか
きちんと把握しておきましょう。
屋根材の種類ごとに目安とされているメンテナンス頻度は次の通りです。
屋根材の種類 | メンテナンスの目安 |
---|---|
スレート | 5~10年 |
瓦 | 10~20年 |
金属屋根 (ガルバリウム鋼板・トタン) |
5~10年(トタン) 10~20年(ガルバリウム鋼板) |
アスファルトシングル | 10年前後 |
ただし、建物の立地や環境などによってもメンテナンスが必要な頻度は変わるため、必要に応じて対応してください。
耐震性に強い「ガルバリウム鋼板」がおすすめ
いくつか種類がある屋根材の中でも、おすすめはガルバリウム鋼板です。
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンの合金で鋼板の表面を加工した素材で、
アルミニウムの耐食性と亜鉛の防食性によって、トタンよりもサビに強く耐久性が高い特徴を持ちます。
また、軽量(スレートの約1/4、瓦の約1/10)のため建物が倒壊しにくく、耐震性にも優れています。
耐久性・耐震性が高く、メンテナンスの頻度が比較的抑えられることに加え、
カラーバリエーションが豊富なため、屋根のデザイン性を重視したい方にも向いている素材です。
スレート屋根と比較すると初期費用が高い傾向にあるものの、
耐久性に優れているため結果的にコストパフォーマンスが高いといえます。
屋根修理の種類と費用相場
屋根の修理といっても、不具合が起きた箇所のみを対象とする「部分修理」と
屋根全体を対象とする「全面改修(リフォーム)」があります。
部分修理と全面改修に分けて、それぞれの費用相場について見ていきましょう。
部分修理の場合の費用相場
部分修理と聞いて、瓦の補修(交換)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、よくある部分修理を費用相場と併せて4つ解説します。
瓦の補修
瓦の補修は、瓦に割れや欠けがある、瓦がズレてしまった、色褪せているといった場合などに新しい瓦と交換することです。
一般的な瓦1枚あたりの単価は300〜1,000円ほどですが、瓦の運送費・施工費・高所で作業するための手当・瓦の処分費・出張交通費などがかかり、補修費用は5,000〜50,000円くらいになります。
瓦は1枚から交換可能ですが、たとえ交換する瓦が1枚であっても、周辺の瓦も一度外さなければいけないなど、手間がかかります。
また、使用している瓦がすでに廃盤となっている場合は、部分修理よりも屋根全体の葺き替えが適していたり、
雨漏りが起きている場合は、ルーフィング(屋根の防水紙)の交換も必要になったりするなど、
部分修理では対応が難しい場合もあると理解しておきましょう。
棟板金の交換
棟板金の交換は、太陽の熱による金属の膨張収縮や強風、
経年劣化により少しずつ釘が抜けて板金が浮き、下にある貫板が傷んでしまった場合などに行います。
費用は1m当たりおおよそ3,500~4,600円(足場代を含まない)です。
棟板金とは屋根材のつなぎ目を覆う金属のことで、屋根材のつなぎ目から雨水や風、虫が侵入しないように防ぐ役割があります。
点検・交換は必須であり、そのままにしておくと雨漏りはもちろん、
棟板金が風で飛びやすくなることもあり、危険が伴うため注意しましょう。
漆喰補修
漆喰補修は、漆喰が経年劣化によって剥がれたりひび割れが起きたりした場合に行います。
費用は1m当たりおおよそ2,000〜5,000円(足場代を含まない)です。
瓦は耐用年数が50年以上と長い一方で、ともに用いる漆喰は瓦よりも耐用年数が短いという特徴があります。
劣化による剥がれやひび割れをそのままにしていると、雨漏りや瓦がズレて落下する危険性もあります。
劣化が軽微の場合は漆喰詰め直し工事(古い漆喰を取り除いて新たな漆喰を詰め直す)、
劣化が甚大の場合は棟瓦取り直し工事(屋根の頂上部分の瓦を取り外してから漆喰を詰め直す)など、必要に応じた補修が必要です。
雨樋交換
雨樋の交換は、雨樋が破損・変形した場合以外にも、風や雪によって雨樋を固定する金具に負担が掛かり、
金具が外れてしまった場合にも行うことがあります。
雨樋には角樋や丸樋など形状の異なる種類がありますが、角樋の場合、
費用は1m当たりおおよそ4,100〜5,000円(足場代を含まない)です。
雨樋は、屋根に水が溜まらないよう雨水を集めて地面へ流す役目を持っています。
割れや穴が開いたままにしていることで破損部分から雨水が直接落ちて騒音被害につながったり、
雨樋に葉っぱやごみが詰まって雨水が溢れて外壁を汚してしまったりすることもあるため、注意しましょう。
全面改修(リフォーム)の場合の費用相場
部分修理で対応できない場合、全面改修(リフォーム)が必要です。
ここでは、塗装・カバー工法・葺き替えの3つを費用相場と併せて解説します。
塗装
屋根の塗料を塗り直す塗装は、見た目の美しさを保つ以外にも、塗膜を形成することで防水・防塵効果が期待できます。
1棟当たりの費用は、次の通りです。
- 屋根の塗装のみ:おおよそ15万~25万円(足場代を含まない)
塗装と同時に、換気棟や棟板金の交換・取り付けも検討するとよいでしょう。
塗装は、高圧洗浄機で屋根の汚れを落としてから、下塗りをした後に中塗り、上塗りをし合計3回作業を行います。
塗料には、汚れがつきにくいセルフクリーニング機能や断熱機能を持つものなどさまざまな種類があり、
屋根材や塗装面積だけでなく、選択する塗料によっても費用は異なります。
カバー工法
カバー工法は、既存の屋根を撤去することなくその上に新たな屋根材を重ねて施工する方法で、
重ね葺き(かさねぶき)とも呼ばれます。
1棟当たりの費用は、おおよそ90万~190万円です。
後述する葺き替えと比較して、撤去や廃材の処分費用がかからない分、コストが抑えられる傾向にあります。
ただし、どの屋根材でカバー工法を施すかによって費用に差があります。
例えば、アスファルトシングルでカバー工法を用いる場合は比較的安価で済みますが、
SGL鋼板の断熱屋根でカバー工法を用いる場合は、費用が高めに設定されることもあります。
また、屋根の荷重負担が大きくなるカバー工法は、
屋根下地の劣化状況などによっては施工できないケースもあると理解しておきましょう。
葺き替え
葺き替えは、既存の屋根を撤去して新しい屋根材に取り替える方法です。
1棟当たりの費用は、おおよそ100万〜260万円(足場代含む)です。
必要に応じてルーフィングや屋根の下地である野地板なども新しく張り替えることができ、
屋根本来の機能を回復できるでしょう。
ただしカバー工法同様、選択する屋根材によって費用が異なります。
屋根修理で失敗しない!業者の探し方
屋根の修理は素人ではわからないことが多く、業者による不正にも気付きにくいため、
トラブルに発展するケースも少なくありません。
トラブルを回避するには、業者選びが重要になります。
基本的に、屋根の構造に詳しいとされる以下のいずれかに相談・依頼することが好ましいでしょう。
- 板金工事会社
トタンやガルバリウム鋼板など、金属屋根を専門に工事する会社です。
中には、スレートやアスファルトシングルを扱う業者もあります。 - 瓦葺き工事会社
瓦屋根の葺き替えを中心に行う会社です。
近年は、瓦屋根を採用する住宅が少なくなってきていることから、
比較的施工しやすい石粒付き鋼板屋根やスレート、アスファルトシングルを扱う業者も増えています。
複数の業者に相見積もり
屋根の修理は依頼する会社によって費用や対応が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し比較しましょう。
屋根の工事は築年数や屋根の劣化状況、施工内容など、各家庭によって異なります。
1社の見積もりだけでは、本当にその金額が適正なのか判断できません。
板金工事会社と瓦葺き工事会社の中から、少なくとも2〜3社に相談することをおすすめします。
飛び込み営業や悪徳業者に注意
「屋根が剥がれている」などと言いながら突然家を訪ねてくる飛び込み営業や悪徳業者に注意することはもちろん、
業者が必要な知識を有しているかきちんと見極めましょう。
屋根の修理では、悪徳業者に限らず知識不足による施工不良が近年多く見られます。
例えば、屋根材を変える際にルーフィングの状況を確かめるまで配慮が行き届かず、
屋根材のみを変えたことで結局雨漏りしてしまうトラブルなどが発生しています。
知識があれば根本的な原因を解決できるにもかかわらず、知識が不足していることで再度修理が必要になることもあります。
業者選びは慎重に行いましょう。
屋根修理は火災保険を適用できる可能性も
風災や雪災など、自然災害によって屋根が破損し修理が必要となった場合は、
火災保険が適用され、屋根の修理費用(保険金)が受け取れます。
具体的には、「台風で屋根の瓦が飛んでいった」「強風による飛来物で屋根に穴が開いた」
「積雪により瓦がズレて雨漏りした」など、さまざまなケースです。
経年劣化や人為的な破損には適用されないため注意しましょう。
なお、保険を申請する際は被害箇所の写真や見積書などが必要です。
しかし修理会社の中には被災に対する専門知識が乏しく、正しい見積書を用意できないことで、
結果的に火災保険を活かせないケースも少なくありません。
火災保険を上手く活用するには、修理を依頼する会社の選定にも気を付ける必要があります。
屋根修理を自分でしない方が良い理由
費用を安く抑えるため、屋根の修理を自分でやろうと考える方は多いかもしれません。
しかし以下の理由から、屋根の修理は自分では行わない方が良いでしょう。
- 安全面のリスクがある
屋根の上で作業するため、転落による怪我や夏場には熱中症になる危険性が高まるといったリスクがあります。 - 他の部分も修理が必要になる可能性がある
例えば作業時に瓦を踏んで割ってしまい、余計に修理の必要な箇所が増える可能性があります。 - 火災保険が適用されなくなる可能性がある
自分で手を加えて修理できなかった場合、補償の対象外となり火災保険が適用されなくなる可能性があります。
安全面や屋根の損傷規模がかえって大きくなるといったリスクを考えると、
屋根の修理を自分で行うことはおすすめできません。
また、修理だけでなく屋根塗装も自分では行わない方がよいです。
以下の記事では屋根塗装を自分で行うべきではない理由について詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
>>屋根塗装は自分でできる?しないほうが良い理由も解説
まとめ
この記事では、屋根の修理の費用相場について部分修理と全面改修に分けて解説しました。
費用は施工内容や業者によって異なるため、複数の会社へ見積もりを依頼し、比較・検討してください。
また、屋根の修理は自分で行うとさまざまなリスクが伴うため、
屋根の構造に詳しい板金工事会社や瓦葺き工事会社などのプロに相談することが大切です。
自然災害によって修理が必要となった場合は、火災保険が適用されることも覚えておくと良いでしょう。