【都道府県別】屋根塗装で助成金は利用できる?助成金の条件・注意点も解説

屋根の修理や塗装を行う前に、ぜひ確認しておきたいのが助成金制度です。
お住まいの自治体が助成金制度を設けている場合、うまく活用することで費用を抑えられるかもしれません。

本記事では、屋根塗装に利用できる助成金について、
いくつかの自治体を例に挙げながら助成金を受けるための条件や注意点を解説します。
ぜひ参考にしてください。

 

屋根塗装の助成金とは?もらえるかは自治体ごとに異なる

屋根塗装の助成金とは、屋根の塗装にかかる費用の一部を支給してもらえる制度のことです。

各自治体が独自に設けている制度で、条件を満たすことで助成金が受け取れます。
ただし、条件・審査が厳しい自治体や、助成金制度そのものを設けていない自治体もあるため、
必ずしもすべての方が助成を受けられるわけではなく、自治体ごとに異なると理解しておきましょう。

また、助成金は通常工事完了後に支払われることが多いですが、申請者の口座に振り込まれる以外にも、
自治体が施工業者に直接交付する場合があるなど、交付方法も異なります。

なお、助成金とよく似た言葉に補助金がありますが、補助金は採択件数や金額が事前に定められていることが一般的です。
助成金よりも審査が厳しく、ハードルが高い分支給される金額も高い傾向にあるなどの違いがあります。

屋根塗装で利用できる助成金の例

屋根塗装で利用できる助成金の例をピックアップして7つご紹介します。
ただし紹介するのはあくまでも助成金の一例であり、補助金なども含めると利用できる制度は他にもあります。

各自治体によって制度の名称や助成金額などが異なることを念頭に置いた上で、
ここでは屋根塗装に利用できる助成金について見てみましょう。

東京都品川区の場合

東京都品川区では、「住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)」を実施しています。

【詳細】

対象工事 「屋根・屋上・ベランダ・外壁のいずれかに遮熱性塗装」
助成金額

■区民
工事費用(税抜)の10% ※上限20万円

■マンション管理組合、賃貸住宅の個人オーナー
工事費用(税抜)の10% ※上限100万円

対象工事費(税抜) 10万円以上

住宅改善工事助成事業は、遮熱性塗装(エコ住宅改修)の他にも、バリアフリー住宅改修、
屋根の軽量化や外壁耐火パネル設置といったその他工事も助成対象としています。

※助成金額が予算に達したため2023年度分は同年10月6日に受付を終了しており、
新規受付は2024年度以降に改めて案内される予定です。

東京都渋谷区の場合

東京都渋谷区では、「住宅簡易改修支援事業」を実施しています。

【詳細】

工事内容 「屋根や外壁の改修・模様替えを行う外装工事」
助成金額 工事費用(税抜)の20%(1,000円未満は切り捨て)
※上限10万円
対象工事費(税抜 5万円以上

渋谷区協定業者(区が協定を結んだ施工業者)が工事の見積書を作成するため、
申請者自らが施工業者を指定することはできません。

また、助成金は渋谷区が渋谷区協定業者に直接交付するため、申請者には振り込まれません。
申請者は「総工事代金-交付が決定した助成金額を引いた残額」を施工業者へ支払います。

神奈川県清川村の場合

神奈川県清川村には、「住宅リフォーム助成制度」があります。

【詳細】

工事内容 「屋根の葺き替え、塗装、防水工事、雨どい等の取替えや修繕」
助成金額 工事金額(税抜):助成金額(100円未満切り捨て)

■10万円未満:工事金額の1/2
■10万~60万円未満:工事金額の1/2 ※上限10万円
■60万~110万円未満:一律15万円
■110万円以上:(工事金額-100万円)の1/2の金額+10万円 ※上限20万円

対象工事費(税抜) 5万円以上

過去に助成金を受け取っていた場合でも、
助成を受けた年から2年度が経過している場合は再度助成を受けられることが特徴です。

神奈川県寒川町の場合

神奈川県寒川町では、「住宅リフォーム等建築工事推進助成事業」を実施しています。

【詳細】

工事内容 「屋根の葺き替えや塗装、外壁工事」
助成金額 工事金額(税抜)の5%
※上限3万円
対象工事費(税抜) 20万円以上

寒川町の助成金は現金ではなく、「寒川町共通商品券」として交付されることが特徴です。

過去に助成金を受け取っていた場合でも、助成を受けた年から10年度が経過している場合は再度助成を受けられます。

静岡県伊東市の場合

静岡県伊東市は、住宅リフォームにかかる費用を助成しています。

【詳細】

工事内容 「屋根の葺き替え、塗装、防水工事」
助成金額 工事金額(税抜):助成金額

■10万円以上100万円未満:工事金額の10%(1,000円未満切り捨て)
■100万円以上:10万円

対象工事費(税抜) 10万円以上

市が実施する「耐震補強の工事費に対する補助」と併せて助成を受けることも可能で、
その場合住宅リフォームの助成金額は、工事金額の20%(最大20万円)となります。

大阪府泉佐野市の場合

大阪府泉佐野市では、2023年度「住宅リフォーム助成事業」を実施しました。

【詳細】

工事内容 「屋根・屋上等の葺き替え、塗装、防水工事」
助成金額 工事費用(税抜)の10%(1,000円未満は切り捨て)
※上限10万円
対象工事費(税抜) 要確認

助成対象となる住宅は、申請日時点で10年以上住んでいることや築年数が5年以上であることなどが定められています。

2023年度の受付はすでに終了(2024年2月時点)しているため、
2024年度以降については泉佐野市のホームページにてご確認ください。

北海道赤平市の場合

北海道赤平市では、「あんしん住宅助成事業」を実施しています。

【詳細】

工事内容 「外部塗装」 ※リフォーム工事
助成金額 工事金額(税抜)の15%
※上限50万円●子育て世代(18歳未満の子どもと同居が条件)の場合
工事金額(税抜)の20%
※上限75万円
対象工事費(税抜) 5万円以上

あんしん住宅助成事業は、外部塗装(リフォーム工事)の他、解体工事、耐震改修工事も助成の対象です。

2021年4月1日に事業内容がリニューアルし、助成率や限度額が以前よりも拡充しています。

屋根塗装で助成金をもらうための条件

屋根塗装で助成金をもらうためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
条件は自治体ごとに細かく定められており、内容もそれぞれで異なりますが、主な申請条件として以下が共通しています。

【申請者】

  • 申請先の地域に住民登録していること
  • 屋根塗装を行う対象住宅の所有者or居住者であること
  • 住民税などの税金を滞納していないこと(対象住宅の居住者全員)
  • 助成金制度の利用が初めてであること
    ※自治体によっては過去に助成を受けていても、自治体が定める一定期間が経過している場合は、
    再び制度を利用できることもあります。

また、上記以外にも対象工事費の下限(例えば、消費税を除いた○万円以上の工事が対象など)を定めていたり、
施工業者は自治体が指定する中から選択したりすることなど、工事に関する条件を定めているところもあります。

必ず自治体のホームページや窓口で条件を確認するようにしてください。

対象の工事内容は?

屋根塗装が助成金の対象となる工事は、主に次の2つです。

  • 省エネを目的とする工事
    近赤外線を反射する「遮熱塗料」を利用した塗装など、
    省エネリフォームやヒートアイランド現象の防止といった地球環境に配慮した工事です。
  • 一般的なリフォーム工事
    景観保全や空き家活用のためのリフォームなどに、屋根塗装が対象となっていることがあります。

自治体によっては、地域経済の活性化を目的として地元の施工業者を利用する場合に限るなどの
条件を設けていることもあるため、対象工事と併せて確認しておきましょう。

屋根塗装で助成金をもらう流れ

助成金をもらうまでの流れをわかりやすく3つのステップに分けて解説します。
助成金の活用を検討している方は、ぜひチェックしてください。

1.該当の自治体に助成金制度があるかチェックする

まずは、お住まいの自治体に助成金制度があるかどうか確認します。

繰り返しになりますが、助成金制度は自治体ごとに設けているものです。
当然、設けていない地域では助成金が受け取れないため、事前に自治体のホームページや
地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイトなどで確認しておきましょう。

助成金制度が確認できた場合は、以下の内容も併せてチェック・検討します。

  • 支給対象となる条件
  • 依頼する施工会社の選定
  • 建物に建築違反がないかの確認 など

なお、サイト上では「屋根塗装」ではなく外壁塗装や塗替えと表記されていることもあるため、
制度の内容に細かく目を通し、見落としがないようにすることがポイントです。

2.申請手続きを行う

助成金の受け取りは工事完了後であっても、申請は工事前に行うことが基本です。
必要な書類を準備して各自治体へ申請手続きを行いましょう。

各自治体によって異なりますが、申請の手続きには以下のような書類が必要です。

  • 申請書
  • 住宅の登記簿謄本 ※所有者確認のため
  • 施工前の現場写真
  • 工事の見積書および契約書 など

申請書は、各自治体のホームページや窓口で配布されているため、
事前に入手してください。提出漏れがないよう確認・準備を徹底しましょう。

3.工事後に報告書を提出して助成金を受け取る

工事が完了したら、「工事完了報告書(実績報告書)」と「請求書」を提出して助成金を受け取ります。

書類を提出せずそのままにしていると、いつまで経っても助成金が交付されることはありません。
工事完了後、速やかに届け出ましょう。
工事の途中で施工範囲や使用塗料などに変更が生じた場合は、変更の届け出も必要となります。
施工会社に協力してもらいながら必要な書類を提出し、助成金を受け取ってください。

屋根塗装で助成金を活用する際の注意点

条件を満たし、各自治体に申請することで受け取れる可能性のある助成金ですが、
活用する際に気を付けなければいけないポイントが3つあります。
それぞれチェックしておきましょう。

応募者の数次第では早めに締め切られるケースがある

助成金制度があるからといって、必ずしも助成金を受け取れるとは限りません。
なぜなら、助成金は各自治体が独自で設けており、予算に限りがあるためです。

自治体の予想を応募者(申請者)の数がはるかに上回った場合、先着順や抽選になったり、
申請を早めに締め切ったりするケースもあるため注意してください。

助成金の申請には、複数の書類を提出する必要がありますが、
なかには施工会社に書類の作成(見積書や契約書など)を依頼しなければならないものもあります。
施工会社がすぐに対応できるとは限らないため、時間に余裕を持って手続きができるよう早めに申し込むことを心掛けましょう。

基本的には「施工前」の申請が必要

助成金制度を利用するための申請はいつでも良いというわけではなく、原則「施工前」の申請が必要です。
着工後や工事完了後の申請は受け付けてもらえないことがほとんどのため、注意しましょう。

例えば東京都品川区では、申し込みができる要件として「予約申し込み時点で着工前」であり、
区が定めた期間内に助成申請書類を提出できることとしています。
他にも神奈川県寒川町は、「助成金の交付が決定する前に着工した工事は対象外とする」と定めています。

申請を怠ったりタイミングを誤ったりしたことで助成金が受け取れないということにならないよう、
申請時期をきちんと確認した上で、申請を行いましょう。

承認に時間がかかることがある

助成金の申請をした後、すぐに交付が決定するわけではありません。
申請書や見積書など一世帯で多くの書類を提出することに加え、
申請者数も多いことが予想されることから自治体はその確認作業に時間がかかると思っておいたほうが良いでしょう。

特に助成金制度は、申請の受付期間だけでなく工事完了の報告書を提出する期限も自治体によって設けられています。
申請したものの承認までに時間がかかったことで、自治体が定める期限までに工事が完了しないという事態も考えられます。
承認には時間がかかる可能性があると理解しておきましょう。

まとめ

屋根の塗装に活用できる助成金制度は、各自治体によって定められています。
なかには制度を設けていない自治体もあるため、
屋根の塗装を検討している方は自治体ホームページや検索サイトを通して確認することが大切です。

助成金を活用する際は申請の受付期間や条件、助成内容をきちんと把握した上で、手続きを行ってください。
着工後の申請は不可としている場合もあるため、注意しましょう。