外壁塗装で助成金を受け取れる?注意点や例を詳しく紹介

環境対策や火災対策など、さまざまな目的で行われるリフォーム工事のひとつが外壁塗装です。
しかしリフォーム工事では、多額の費用を払わないといけない場合もあります。

今回はコスト面の負担を抑えたいと思う人に向けて、外壁塗装に関する助成金を紹介します。
注意点や具体的な制度も説明するので、工事を検討している人は参考にしてみてください。

外壁塗装では助成金を申請できる!

自治体の中には、外壁塗装をした人に向けた助成金を提供しているところもあります。
助成金と補助金の違いも含めて、条件等を説明しますので参考にしてください。

そもそも助成金と補助金の違いとは?

助成金と補助金の主な違いは、管轄や受け取りにかかるハードルの高さです。

助成金の場合は、基本的に要件さえ満たしていれば問題なく支給されます。

したがって受給におけるハードルは、補助金と比べると高くありません。

一方で補助金は、審査に通過できる難易度が助成金よりも高いのが特徴です。
たとえ要件を満たしていても、審査の結果によっては申請が通らないこともあります。

とはいえどちらも返済の必要がなく、制度によっては明確に区別していないものもあるので、
あくまで参考程度に覚えてください。

自治体によって条件が異なるので注意

外壁塗装の助成金において注意したいポイントは、自治体によって受給条件が異なる点です。
助成制度自体が存在しないケースもあるため、全ての自治体で助成金を受け取れるわけではありません。

仮に助成制度を実施している場合でも、支給対象は自治体によって細かく異なります。
ただ単にリフォームするだけで助成金がもらえるところもあれば、
エコリフォームや建物の長寿命化といった条件が存在するケースもあるので各自で確認してください。

ただし自分一人で探すだけでは、必要な情報を見落としてしまう恐れもあります。
役場の担当窓口に問い合わせると詳しく教えてもらえるので、わからないことがあったら電話で相談してみるとよいでしょう。

外壁塗装で助成金が支給されている背景・理由

外壁塗装で助成金が支給されている背景としては、環境問題が挙げられます。
地球温暖化対策において、重視されている要素のひとつが電気やガスの節約です。
助成金は、こうした環境対策を積極的に推し進めるべく使われます。

さらに地域経済の活性化を図るのも、助成金の目的のひとつです。
居住者が気軽にリフォーム工事を依頼できるようにするには、経済的負担を減らす必要があります。
依頼が増えれば企業も利益を得られやすくなり、人材や技術に投資しやすくなるでしょう。

また外壁塗装にかかわらず、建物に関する助成制度は地域住民の定住化を促進させる働きもあります。
地域人口をできる限り減らさないように、助成制度によって生活しやすい環境を作ろうとしているのも大きな狙いです。

補助金・助成制度は大きく2つに分類できる

補助金や助成制度には、大きく「省エネのための住宅改修補助」と「一般的な住宅リフォーム」に分けられます。
各種類の主な制度内容を押さえてください。

省エネのための住宅改修補助

省エネのための住宅改修補助には、主にヒートアイランド対策の助成金とエコリフォームの助成金があります。
制度を深く知るには、それぞれの目的から把握しましょう。

ヒートアイランド対策の助成金

省エネのための住宅改修補助として、採用されているのがヒートアイランド対策の助成金です。
ヒートアイランドとは、都市の気温が郊外と比べて高くなる現象を指します。

この現象を防ぐべく、助成制度においては遮熱塗装を条件とする自治体もあります。
遮熱塗装を取り入れる理由は、建物の蓄熱量を抑えるためです。
建物は太陽からの熱を蓄え、昼夜問わず熱を放射し続けます。
要するに周囲の気温上昇を抑えるうえでは、遮熱塗装による蓄熱量を減少させることが改善策となるわけです。

またヒートアイランド現象が起こるのは、エアコンの使いすぎも原因として挙げられます。
エアコンは人工排熱を増やす要因にもなるため、室温を安定させやすい遮熱塗装が重視されています。

エコリフォームの助成金

ヒートアイランド対策以外にも、エコリフォームの助成金に外壁塗装を含めているところもあります。
こちらも地球温暖化対策に向けて、環境に優しい塗料を導入しているのが主な条件です。

その塗料のひとつとして、断熱塗料が挙げられます。
外壁に断熱塗料を取り入れれば、室内の冷気や暖気が逃げにくくなります。
クーラーや暖房の使用量も抑えられることから、エコリフォームにおいても重要な役割を担います。

エコリフォームの助成金は外壁塗装にかかわらず、さまざまな改修工事で適用されています。
具体例として挙げられるのが、オール電化の導入や太陽光発電システムの設置に関する工事です。
これらの工事も対象になる場合があるので、併せて覚えておくとよいでしょう。

一般的な住宅リフォームの場合

エコに関する目的でなくとも、住宅リフォームに助成金が支給される自治体も存在します。
その例のひとつが、耐震工事を行った場合です。
耐震工事がなされていないと、大地震が起きた際に外壁の周囲にいる人がケガを負うリスクも高まります。
自然災害の脅威に備えるべく、助成金を支給して安全確保に努めるのも狙いのひとつです。

ほかにも空き家のリフォームに対して、助成金を支給する制度がつくられている場合もあります。
空き家として放置されているより、人を住まわせて有効活用したほうが自治体にとって望ましいといえるためです。

このようにさまざまな形で支援を行っているので、一つひとつをしっかりと確認しましょう。

どんな助成金・補助金がある?自治体の一例を紹介

外壁塗装の助成金や補助金について、東京都品川区・埼玉県羽生市・神奈川県葉山町・千葉県我孫子市の例を紹介しましょう。

”住宅改善工事助成事業” | 東京都品川区

まず紹介したいのが、東京都品川区で実施している「住宅改善工事助成事業」です。
こちらは住宅をエコまたはバリアフリーの目的で改修した場合に助成されます。
遮熱塗装が主な対象となり、助成金額は工事費用(税抜)の10%(上限20万円)です。

申請するにあたり、以下の条件を設けています。

  • 住民税を滞納していない
  • 制度を初めて利用する
  • 助成対象の工事費用が10万円以上
  • 前年の所得が1200万円以下

ほかにも条件が細かく定められているので、申請する前に目を通してください。

令和6年度の申請時期は4月1日〜令和7年2月12日となっていますが、予算に達した時点で終了となるので注意しましょう。
工事前と工事後の2回の申請が必要であり、工事後のほうは工事が終わってから1カ月以内に書類を提出しないといけません。

”住宅改修(リフォーム)補助金交付制度” | 埼玉県羽生市

埼玉県羽生市では、住宅改修(リフォーム)補助金交付制度を実施しています。
住宅の外壁の模様替えによく使われます。対象住宅は申請者の持ち家となっており、補助額は最高10万円です(工事費の5%)。

主な条件として、以下の点をしっかりと押さえてください。

  • 住民税を滞納していない
  • 制度を初めて利用する(同様の制度(改修工事等)の補助金を受けていない)
  • 市内業者(市内に事務所を置く業者)が施工する工事に限られる
  • 工事費用が消費税別で20万円以上

令和6年4月1日から受付を開始しており、予算が上限に達したら終了となります。
外壁塗装に加えてキッチンや浴室の改修、トイレの交換など対象となる工事の種類が多いので、
これらも併せて改修したいと考えている人にもおすすめです。

”葉山町住宅リフォーム資金補助制度” | 神奈川県葉山町

葉山町住宅リフォーム資金補助制度では、住宅リフォームの実施に際して助成金を支給しています。
地域経済の活性化および住民の暮らしを向上させるのが制度の目的です。
助成額は一律5万円に設定されています。

補助金が交付される条件として、以下の内容が挙げられます。

  • 町税や国民健康保険税などを滞納していない
  • 葉山町内の業者が行う工事である
  • 工事費が20万円以上である
  • 同一部分の工事に町のほかの補助金等を受けていない
  • 法令に違反する工事でない

申請期限は具体的に設けていませんが、年度内に完了報告を済ませる必要があります。
また交付後10年以内に、建物を売却・用途変更(非居住建物にするなど)・廃棄した場合は返金の可能性もあるので気をつけてください。

”我孫子市住宅リフォーム補助金制度” | 千葉県我孫子市

我孫子市住宅リフォーム補助制度は、市内の定住を促進することを目的としています。
所有権登記が済んでいる個人住宅のリフォームを行う人向けに適用される制度です。
子育て世帯や市外転入者など、条件によって支給される補助金の額が異なります
(詳しい補助額については我孫子市の公式ページを参照ください)。

補助要件としては、以下の条件があります。

  • 住民税・固定資産税・都市計画税を滞納していない
  • 補助対象工事が税込20万円以上(登録施工業者による工事)
  • リフォーム後も10年以上住み続ける(定住の促進が狙いであるため)
  • 過去にこの補助金を受けていない

「我孫子市若い世代の住宅取得補助金」との併用が可能ですが、
ほかの制度とは基本的に併用できないので注意しましょう。

【比較表】自治体ごとの支給額まとめ

外壁塗装の助成・補助制度について、自治体ごとの比較表を作成してみました。
ここで紹介している自治体に住んでいる人は、表も併せて参考にしてください。

地区 制度名 最大支給額 対象の外壁塗装
東京都品川区 住宅改善工事助成事業 20万円 遮熱性塗装
東京都千代田区 ヒートアイランド対策助成 50万円 高反射率塗料
熱交換塗料
東京都目黒区 住宅リフォーム資金助成 10万円 区分所有登記していない一
戸建て住宅の外壁塗装
東京都世田谷区 エコ住宅補助金 3万円 単独申請は不可
(他の工事
(小型ポータブル蓄電池以外)
と併せて申請)
東京都杉並区 断熱改修等省エネルギー対策助成 15万円 単独申請は不可
高日射反射率塗装
(既存住宅のみ)
埼玉県羽生市 住宅改修(リフォーム)
補助金交付制度
10万円 外壁塗装工事全般
神奈川県葉山町 葉山町住宅リフォーム資
金補助制度
5万円 外壁塗装工事全般(張替えも可)
※外構工事は対象外
神奈川県大和市 不燃化・バリアフリー化
改修工事費補助金
10万円 不燃塗料への塗り替え
神奈川県三浦市 住宅リフォーム助成事業 8万円 外壁塗装工事全般(張替えも可)
千葉県我孫子市 我孫子市住宅リフォーム
補助金制度
10〜50万円
(※条件によって細かく異なる)
住宅の長寿命化、機能向上、
生活の質の維持につながる塗装工事

助成金を受け取るまでの流れ|申請方法

助成金を受け取るには、自分の住んでいる自治体に申請を行う必要があります。
申請の流れについて紹介しますが、自治体の情報もしっかりと確認してください。

1.外壁塗装の見積もりを依頼する

まずは外壁塗装の見積もりを施工業者に依頼します。
施工業者に助成金の申請を行う旨も説明し、期間や金額などの条件を満たしているかを確かめましょう。
見積もりの段階から一社に絞るのではなく、複数の業者からもらうことをおすすめします。

2.申請できる助成金を調べる

施工業者から見積もりをもらったら、申請できそうな助成金についても調べましょう。
自治体のWebサイトを参考にする、直接窓口に電話して該当する助成金がないかを確認するといった方法があります。

加えてリフォームに関する助成金を調べる際には、
「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用するとよいでしょう。
こちらのサイトは項目をクリックするだけで、助成金制度をリフォーム内容および地域別に検索できます。

3.工事前に助成金を申請する

該当する助成金を見つけたら、申請手続きに移りましょう。
ここで注意してほしいポイントは、工事へ入る前に申請を行うことです。
順番を誤ると助成金がもらえなくなる場合もあるので、慎重に施工業者および自治体へ確認してください。

申請に必要な書類も、実際には自治体によって細かく変わります。
ここでは、一般的に提出を求められる書類を紹介しましょう。

  • 申請書および見積書
  • 住民票
  • 納税証明書
  • 工事に関する契約書
  • 工事前の写真
  • 建物内の見取り図・平面図など

これらを早めに揃えておかないと、申請手続きが延びて施工業者も工事に取りかかれなくなります。
書類に不備があった場合は再添付も求められるので、すぐに対応してください。
承認通知書が届いたら(遅くとも申請後1カ月以内が目安)、工事をスタートできます。

4.報告書など必要書類を工事後に提出する

工事が完了したら、実績報告書などの提出が必要になるケースもあります。
こちらも自治体によって報告方法が異なるので、各自であらかじめ情報をチェックしてみましょう。

一般的には実績報告書に加えて、請求書や工事後の写真の提出を求められます。
不備なく提出するためにも、施工業者とも助成金制度の流れを確認しておくとよいでしょう。

5.助成金を受け取る

実績報告を完了したあと、これまでの手続きに問題がなければ助成金が振り込まれます。
あらかじめ自治体から交付確定通知書が送付されるので、記載内容をしっかりと確認してください。
支給時期は、報告してから数週間〜1カ月後を目安に考えるとよいでしょう。

助成金申請時に押さえておきたい注意点

助成金を申請するうえでは、いくつか押さえてほしい注意点があります。
助成金が支給されなくなる恐れもあるので、しっかりと確認しましょう。

税金の滞納がないか、管轄エリア内かなど条件を熟読する

助成金を申請する際には、税金の滞納がないかをしっかりと確認してください。
基本的にどの制度も、税金を納めていることが条件のひとつとされています。
住民税のみならず、固定資産税や自動車税、国民健康保険税の状況も調べましょう。

税金の状況は、世帯全員分の確認が必要です。
申告が必要となる所得があるにもかかわらず、前年度分の確定申告を行っていない人も申告を済ませてください。
税金を滞納している場合、納付が完了するまでは助成金の対象外となってしまいます。

また税金を滞納していなくとも、管轄エリア外であることを理由に申請が認められない場合もあります。
このように細かい条件で対象になるかどうかが変わるので、制度のルールを必ず熟読してください。

支給されるまでに時間がかかることを念頭に置いておく

助成金には「申請→工事→完了報告→支給」といったプロセスがあります。
申請してからも、支給されるまでに時間がかかることを念頭に置いておきましょう。
リフォーム工事にかかる費用は、ひとまず申請者側で支払わないといけません。

工事の進み具合や窓口の混雑状況にもよりますが、助成金が支給されるまで1カ月〜2カ月かかる場合もあります。
これらの流れを把握したうえで、制度を利用してください。

先着順の申請になっているものもある

制度によっては、先着順に申請を受け付けているものもあります。
自治体の助成制度は、あらかじめ予算を決めたうえで実施されるためです。
予算がなくなり次第終了となる制度も数多くあるので、外壁塗装を考えている人は早めに申請を行いましょう。

申請をまだ受け付けているかを確かめたい場合は、自治体のWebサイトの更新状況を見ておくとよいでしょう。
ただし更新が間に合っていない可能性もあるので、工事を検討する前にあらかじめ電話で自治体に確認することもおすすめします。

まとめ

この記事では、外壁塗装に関する助成金を詳しく紹介しました。
まだ制度を実施していない自治体も、これから新しく助成金の支給を始める可能性はあります。

今後のリフォームに向けて、自治体の制度を定期的にチェックすることをおすすめします。

助成金の申請をする場合は、条件にしっかりと目を通してスムーズに手続きできるよう準備するとよいでしょう。