横浜市景観条例は、外壁塗装の色選びに影響する?色選びのおすすめもご紹介

外壁塗装を行う際には、「横浜市景観条例」を遵守しなければなりません。しかし、実際には、「どのエリアで、どんな色やデザインに規制があるのか」を把握されている方は少ないでしょう。

この記事では、景観条例のなかでも外壁塗装に関わる部分だけを整理し、関内・山手・みなとみらい21中央地区・新港地区という主要4地区ごとに分かりやすく解説しました。横浜市で外壁塗装を検討中の方はぜひご一読ください。

横浜市の景観条例とは?

横浜市の景観条例とは?

横浜市景観条例は、横浜らしい美しい街並み・風景を守り、未来へと継承していくために定められたルールです。特に関内・山手・みなとみらい21中央地区・新港地区など「景観推進地区」とされる4地区では、建物の色やデザインに一定の規制が設けられています。外壁塗装やリフォーム、新築を考える際には、この条例の要件を満たすことが大切です。

景観条例とは?

景観条例は、都市や地域特有の「美しさ」や「個性」を守るために自治体が制定するルールです。横浜市景観条例は2004年に施行され、建物や外構、工作物なども“横浜らしい景観”の一部であるという考え方がベースになっています。市民一人ひとりが自分の家や建物を所有・管理する責任を持ち、街全体の景観向上を意識することが求められています。横浜市景観条例の本文については以下のサイトで閲覧可能です。
横浜市景観条例

特に第4条には「自ら所有し、又は管理する建物等が都市景観の一部であることを理解し、魅力ある都市景観の創造に努める」ことが明記されています。個人の住宅も横浜の風景を構成する大切な要素であり、新築の際、あるいは外壁塗装の際には、景観を悪化させるようなデザインや色は避けなければなりません。

景観条例があるエリア「4地区」

横浜市の景観条例では、特に「景観推進地区」と呼ばれる4つのエリアで明確なルールが定められています。関内地区(中区の一部)、山手地区(中区の一部)、みなとみらい21中央地区(中区・西区の一部)、みなとみらい21新港地区(中区の一部)という4地区では、都市景観形成行為(外観の変更や外壁塗装など)を行う際、市への届け出・協議が必要です。お住まいがどのエリアに該当するかは、「まちづくり地図情報(iマッピー)」で住所検索するのが便利です。

一方、上記の4地区以外はそれほど厳しい規定はありませんが、横浜全体で「景観ビジョン」に基づくまちづくりを推進しているため、やはり景観への配慮は必要となります。

「4地区」では外壁の色・デザインが規制される

4地区に指定されたエリアで、外壁塗装や外観リフォームなどの「都市景観形成行為」を行う場合、事前に市に景観形成届出書、位置図や立体図などの図面、色彩資料などを提出し、協議することが義務付けられています。外壁の色も、地区ごとに定められたガイドラインや景観計画に合わせる必要があります。

なお、届け出や協議は、多くの場合、塗装業者が代行してくれるためご安心ください。ただし、「どんな色がOKでNGなのか」を事前に把握しておくのがおすすめです。

以下で地区ごとに、「方針」や「おすすめカラー」「外壁塗装の事例」を解説します。

「関内地区」の景観条例

「関内地区」の景観条例

「関内地区」の景観条例

『関内地区都市景観形成ガイドライン』「1.関内地区都市景観形成ガイドライン対象エリア」より。

まずは関内地区(中区の一部)にお住まいの方・転居予定の方向けの内容です。関内地区は歴史と文化を感じさせる、“港町横浜の顔”とも言えるエリア。都市景観形成ガイドラインが策定されており、外壁色の規制も比較的厳しいのが特徴です。

「関内地区」のまちづくり方針

関内地区はさらに細かい区域ごとに、まちづくり方針が定められています。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 山下町特定地区:レンガ調や御影石調など重厚感ある街並み・イチョウ並木と調和した空間
  • 日本大通り特定地区:開港広場や海岸教会を際立たせる街並み
  • 北仲通り北特定地区:歴史的建造物や港への眺望に配慮した街づくり

関内全体の基本方針は、「歴史と文化を生かした賑わいのある界隈づくり」「ミナト横浜を感じる眺望の確保」「新旧文化の調和」「多様な都市機能の融合」です。外壁の色もこの“調和・伝統・落ち着き”を意識して選ぶことが求められます。

関内地区の規制については横浜市都市整備局が公開している『関内地区都市景観形成ガイドライン』、『関内地区都市景観協議地区』に記載されており、本記事でもこれらをもとに解説します。

関内の一戸建て住宅の外壁規制

ガイドラインでは、「31m以下の部分のデザイン工夫」「歩行者が親しみやすい空間にするために、低層部・中層部を分節してデザインする」「街並みに調和する色彩を使うこと」などが規定されています。

また、「歴史的建造物が引き立つようにする」「夜間の見通しを演出する」「港や丘などからの眺望が魅力的になるよう工夫する」といった事柄も意識しなければなりません。蛍光色や原色の多用は避ける、周囲の歴史や景観と調和した落ち着いた色彩を選ぶといった配慮が必要です。

加えて山下公園通りゾーンでは、「レンガ調の重厚な街並みとイチョウ並木に調和した色合い」、日本大通りゾーンでは「開港広場や海岸教会を際立たせる(邪魔しない)街並み」など、地域ごとで意識すべきポイントも変わってきます。

お問い合わせ先のご案内

景観条例や届け出、協議についての相談は横浜市都市整備局が窓口となります。不明点があれば、電話やメールなどで問い合わせてみましょう。

関内地区

横浜市都市整備局都心再生課(新市庁舎29階)
〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10
電話:045-671-2673
メール:tb-tosai@city.yokohama.jp

また、外壁塗装業者に相談されるのもおすすめです。経験豊富な業者なら、規制の内容や申請手続きについても丁寧にサポートしてくれます。

おすすめの外壁塗装の色・デザイン

関内地区の外壁は、「街並みに溶け込む落ち着いた色味・素材」が基本となります。ガイドラインでは、「R(赤)系、YR(黄赤)系、Y(黄)系、GY(緑黄)系またはG(緑)系が基本で、5R(赤)~5Y(黄)の範囲が推奨」「明度や彩度が高い色、蛍光色などの奇抜な色は原則用いない」といったルールが定められています。

「彩度」とは色の鮮やかさを表す数値です。たとえば、5R(赤)~5Y(黄)の範囲は、レンガのような深みのある赤や、黄土色・テラコッタなどの土を思わせるアースカラー、やわらかなアイボリーやサンドベージュといった、彩度を抑えた暖色系全般が該当します。

品の良いシンプルなデザインが街並みと調和します。落ち着いたベージュ系・グレージュ系・ライトブラウン・レンガ色・クリーム系の色がおすすめです。原色やビビッドカラーは避け、“歴史を感じる街並みに馴染むデザイン”を目指しましょう。

外壁塗装の事例|かながわ住宅コープ

横浜市戸塚区の戸建ての外壁塗装事例|ホワイト系×プレミアムシリコンなど

施工年月 2025年8月
工期 2週間
使用塗料 プレミアムシリコン、プレミアムUVクリヤ
物件の大きさ 33坪 2階建て
費用目安 約120万税込み

戸塚区の事例ですが、関内地区のガイドラインにも適合する色選びとなっています。1階部分にレンガ調の外壁を採用し、横浜らしい歴史ある街並みとの調和を意識したデザインです。シンプルであるがゆえに、洗練され飽きのこない佇まいが実現できます。詳細やご相談はかながわ住宅コープまでお問い合わせください。

「山手地区」の景観条例

「山手地区」の景観条例

山手地区」の景観条例

『横浜市景観計画(山手地区)・山手地区都市景観協議地区区域図』

ここからは山手地区(中区の一部)にお住まい・転居予定の方向けの内容です。山手地区は、横浜港を望む丘に広がる、異国情緒漂う住宅地です。3つの区域ごとに細かなまちづくり方針があり、外壁の色彩にも一定の規制が設けられています。

「山手地区」のまちづくり方針

山手地区の全域には「港や市街地への良好な眺望を保全」「樹木やまとまりある緑の保全」「歴史的な建造物や土木遺構を生かした景観の活用」「落ち着きある街並み・歩行者空間の形成」といった方針で規制が定められています。

さらに、山手町特定地区では異国情緒を生かした閑静な住宅地を維持する、元町特定地区では落ち着きと活気のある歩行者空間と個性的な街並みを創設するなど、地域ごとにまちづくりの方針があり、それに配慮した配色やデザインが求められています。

山手地区の規制については横浜市都市整備局が公開している『山手地区都市景観形成ガイドライン』、『山手地区都市景観協議地区』に記載されており、本記事でもこれらをもとに解説します。

山手の一戸建て住宅の外壁規制

山手地区の外壁は、「周囲の緑や景観に調和した落ち着いた色彩」が基本です。やはり、蛍光色やけばけばしい色はNGで、歴史的建造物・素材との調和を意識した色合いが望ましいです。

たとえば、山手町特定地区では、「異国情緒ある街並みを継承する」「坂道や見通し景観への配慮」「歴史や緑と調和する色合い」などの方針があり、たとえばベージュ系・グリーン系・淡いグレーなどの落ち着いた色を選択するなどの配慮が求められます。

お問い合わせ先のご案内

景観条例や届け出、協議についての相談は横浜市都市整備局で受け付けています。

山手地区

横浜市都市整備局都心再生課(新市庁舎29階)
〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10
電話:045-671-2673
メール:tb-tosai@city.yokohama.jp

塗装業者にも事前に相談し、ガイドラインに則った色選びを進めましょう。

おすすめの外壁塗装の色・デザイン

山手地区のおすすめは、自然素材や緑との調和を意識したナチュラルカラーです。YR・Y(黄赤・黄系)であれば彩度6以下、R(赤系)は彩度4以下、それ以外は彩度2以下が求められます。

「彩度」とは色の鮮やかさを表す数値です。たとえば、YR(黄赤)にはクリーム色や淡いベージュ、Y(黄)には淡いイエローやライトベージュ、R(赤)はレンガ色やブラウン系の色が該当します。

原色・ビビッドカラー・蛍光色は避け、素材の質感や景観に合わせてシンプル&上品にまとめましょう。

外壁塗装の事例|かながわ住宅コープ

戸建ての外壁塗装事例|ベージュ・グリーン×プレミアムシリコン

施工年月 2025年6月
工期 2週間
使用塗料 プレミアムシリコン
物件の大きさ 59坪 2階建て
費用目安 176万円税込み

こちらは相模原市の事例になりますが、爽やかなグリーンとベージュのツートンカラーとなっています。丘や緑の多い横浜の山手地区の雰囲気にもピッタリな、落ち着きと個性を両立した事例です。詳細やご相談はかながわ住宅コープまでお問い合わせください。

「みなとみらい21中央地区・新港地区」の景観条例

「みなとみらい21中央地区・新港地区」の景観条例

「みなとみらい21中央地区・新港地区」の景観条例

『関内地区都市景観形成ガイドライン』「1.関内地区都市景観形成ガイドライン対象エリア」より。

「みなとみらい21中央地区・新港地区」の景観条例

『横浜市景観計画第3編景観推進地区ごとの景観計画』
「第3章みなとみらい21新港地区における景観計画」より。

ここからはみなとみらい21中央・新港地区(中区・西区の一部)にお住まい・転居予定の方向けの内容です。このエリアは高層ビルが多く、戸建て住宅は少ないですが、景観条例による厳格な色規制があるので注意が必要です。

「みなとみらい21中央地区・新港地区」のまちづくり方針

港町横浜の“新しい顔”として、「現代的で開放的な都市景観」「港や海、歴史と調和したまちづくり」「広がりと透明感のある眺望」などの基本方針があります。

建物や外壁色は「景観に溶け込み、品の良いカラーリング」「ガラスやメタリックな素材の活用」など、シンプルで清潔感のある色彩が推奨されています。

みなとみらい21中央地区については『みなとみらい 21 中央地区景観形成ガイドライン』、『みなとみらい21中央地区における景観計画』、新港地区の規制については『みなとみらい 21 新港地区街並み景観ガイドライン』、『みなとみらい21新港地区における景観計画』、に記載されており、本記事でもこれらをもとに解説します。

この地区の一戸建て住宅の外壁規制

ガイドラインでは、原色やビビッドな色はNGであり、白・グレー・ブルーグレー・アイボリーなど“開放感ある明るい色”が奨励されています。周囲の建物や海・空との調和を意識し、目立ちすぎず現代的で洗練されたデザインや色使いが求められます。

お問い合わせ先のご案内

みなとみらいに関しては、中央地区、新港地区ごとに問い合わせ窓口があります。

中央地区

横浜市都市整備局 みなとみらい・東神奈川臨海部推進課
(市庁舎29階)
電話:045-671-3516
メール:tb-mmhigashikanarin@city.yokohama.jp

新港地区

横浜市港湾局 みなと賑わい振興部整備推進課
(市庁舎30階)
電話:045-671-7342
メール:kw-keikan@city.yokohama.jp

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「4地区」以外は規制なし?4地区外の外壁の色選び

「4地区」以外は規制なし?4地区外の外壁の色選び

横浜市民の多くは、上記の4地区以外に居住しています。これらのエリアでは、外壁の色に厳格な規制はありません。届け出や協議の必要もないため、自由な色選びが可能です。ただし、街並みとの調和や景観ビジョンへの配慮が求められます。

規制はないが、周辺環境との調和は大切

横浜市全体では「横浜市景観ビジョン」として、「良好な景観が市民や都市全体の豊かさにつながる」とされています。歴史や土地柄を活かしつつ、「新たな街の個性」を育てていくことも重要です。外壁塗装も、周囲の環境や街並みに調和したカラー選びを心がけましょう。そうすることで、まちづくり・地域活性化にも貢献できます。

自治体のホームページを確認しよう

横浜市は他の自治体と比べてまちづくりに積極的で、さまざまな情報が公開されています。外壁塗装を計画される際は、公式ホームページで最新の景観ガイドやお知らせに目を通しておくと安心です。
横浜市まちづくり情報はこちら

「4地区」外の外壁の色選びのおすすめ

規制がないからといって奇抜で派手な色を選ぶよりも、ご自身の町の“色合い”や“歴史”に合った色を意識するのがおすすめです。

山手地区のような明るい西洋風デザイン、関内のような落ち着いたベージュやレンガ調など、周辺環境をヒントに色を選びましょう。

色選びに迷ったら「外壁塗装におすすめの色・注意点を解説」もご覧ください。

外壁塗装の事例|かながわ住宅コープ

横浜市の戸建ての外壁塗装事例|ベージュ×クールテクトSi

施工年月 2025年3月
工期 17日間
使用塗料 ベージュ系
物件の大きさ 21坪 2階建て
費用目安 115万円税込み

横浜市の戸建ての外壁塗装事例|ベージュ×アートフレッシュ

施工年月 2025年2月
工期 20日間
使用塗料 アートフレッシュ
物件の大きさ 42坪 2階建て
費用目安 160万円税込み

かながわ住宅コープで色のご相談にも対応します

「景観条例に合う色選びが不安」「プロに相談したい」という方は、神奈川県で唯一の住宅専門生協・かながわ住宅コープへご相談ください。

長年の実績を持つ外壁塗装のプロが、ガイドラインの解釈から色選び・届け出手続きまでトータルでサポートします。お電話・メールフォームにてご相談を受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

まとめ

横浜市で外壁塗装を行う際は、「景観条例」の内容を知ることが非常に大切です。特に4地区(関内・山手・みなとみらい)は色やデザインの規制があるため、事前確認が必須となります。

一方、それ以外のエリアでは自由な色選びが可能ですが、街並みや環境との調和を意識して“横浜らしい住まいづくり”につなげましょう。