アスファルトルーフィングとは?種類や価格を徹底解説

住居を雨漏りから防ぐには、ルーフィング選びがカギを握ります。ルーフィングの中でも、
一般的に採用されているのがアスファルトルーフィングです。

この記事では、アスファルトルーフィングの規格や価格について詳しく説明します。
他の種類のルーフィングも併せて取り上げるので、屋根工事を依頼する際の参考にしてください。

アスファルトルーフィングとは

アスファルトルーフィングとは、紙や不織布にアスファルトを染み込ませたルーフィングを指します。
広く採用されている種類であり、防水性に富んでいるのが主なメリットです。まずは具体的な規格や価格について説明しましょう。

アスファルトルーフィングの規格

アスファルトルーフィングは、日本産業規格(JIS)により寸法や材質などが決められています。
その内容を表にまとめました。

JIS 6005 A

種類 アスファルトルーフィング940
製品の単位面積質量の呼び 940
製品の単位面積質量 g/㎡ 940以上
原紙の単位面積質量 g/㎡ 180以上
アスファルトの単位面積質量 g/㎡ 400以上
鉱物質粒子の単位面積質量 g/㎡
加熱減量 %
引張強さ N/cm 長手方向:40以上
幅方向:20以上
耐折り曲げ性 試験片10個中9個以上にき裂がないこと。
アスファルトの浸透状況 アスファルトの不浸透部分がないこと。
耐熱性 被覆物のずれ落ち、発泡、浸透しているアスファルトのしみ出しなどが生じないこと。

出典:アスファルト防水工事関連JIS規格票ー抜粋ー(2ページ目)

この他にも、面積質量の異なるアスファルトルーフィング1500も存在します。

アスファルトルーフィングの価格

アスファルトルーフィングの価格は、一般的に21m×1mあたりで4,000〜5,000円に設定されています。
ゴムや樹脂が加えられた改質アスファルトルーフィングであれば、20m×1mあたり4,000円〜10,000円が相場です。

ただし、これらはあくまでルーフィングのみにかかる費用です。
実際に作業してもらうには、施工費用も発生します。
施工業者によって金額が細かく異なるため、相見積もりを依頼した上で確認してみましょう。

そもそもルーフィングはなぜ必要?重要性を解説

そもそもルーフィングはどのような役割を果たす建材かを、屋根の仕組みも併せて見ていきましょう。

屋根は大きく屋根材・ルーフィング・野地板の3つに分かれます。
表面にある屋根材は一次防水の役割を担いますが、雨の侵入を完全に防げるわけではありません。
雨漏りを防ぐためには、丈夫なルーフィングを屋根材の下に敷く必要があり、このルーフィングが
二次防水の役割を担うことになります。

雨が屋根材やルーフィングの傷んだ部分から侵入すると、その下にある野地板の腐敗を早めてしまいます。
つまりルーフィングは、野地板を守る上で欠かせないパーツであると言えます。
屋根は、屋根材・ルーフィング・野地板の3つの部分が、防水面でそれぞれ役割を果たすことによって、
雨漏りを防ぐ仕組みになっているのです。

アスファルトルーフィング以外のルーフィングを解説

ルーフィングは、種類によってアスファルト以外にもさまざまな成分が使われています。
ここでは、アスファルトルーフィング以外にどのような種類があるかを解説します。
それぞれのメリットやデメリットを押さえつつ、選ぶときの参考にしてください。

高分子系ルーフィング

高分子系ルーフィングは、塩化ビニールや合成ゴムが主成分となっているルーフィングのことです。
アスファルトルーフィングと比べると、軽量な素材となっています。

加えて、伸縮性に富んでいる点も高分子系ルーフィングのメリットのひとつです。
アスファルトルーフィングに比べて破れにくい素材であるため、長持ちしやすいといった利点があります。
ルーフィングの耐用年数を高めたい人は、候補のひとつに挙げてみるとよいでしょう。

一方で高分子系ルーフィングのデメリットとして、紫外線に弱い点が挙げられます。
一般的に耐久性の高い種類であるものの、紫外線の強い時期は劣化が進みやすくなります。
また当該種類は、平面下地にしか施工できません。自分の建物が平面下地でない場合、原則として使用できないため注意が必要です。

透湿防水ルーフィング

透湿防水ルーフィングは、防水の役割を担う一方で、湿気を外に逃がし、結露の発生を抑える機能があります。
カビの発生を抑えられ、住人の健康にも良い影響を与える点が強みです。

屋根裏に湿気が溜まってしまうと、野地板が腐食するスピードも早まります。
したがって湿気を外に逃がせる透湿防水紙ルーフィングは、野地板の寿命も延ばす上でも役立ちます。
野地板が腐りきっていた場合、建物全体の修理が必要です。

しかし、透湿防水ルーフィングは施工にかかる難易度が高いのがデメリットです。
そのためシェア率は低く、導入コストも比較的高くなります。
透湿防水ルーフィングを採用したくとも、取り扱っている施工業者がなかなか見つからないこともあります。

不織布ルーフィング

不織布ルーフィングは、紙ではなく布でつくられているのがポイントです。
一般的なルーフィングと比較すると耐久性が高く、長期間使用できるといった特徴を持ちます。

また破れにくい以外にも、不織布ルーフィングは施工がしやすい点も強みのひとつです。
柔軟性が高いため、さまざまな下地に合わせられます。多くの人々から注目されている種類です。

不織布ルーフィングのデメリットには、初期コストの高さが挙げられます。
導入する際には、金額も多めに用意しなければなりません。
ただし長持ちしやすい種類であることから、ランニングコストはある程度抑えられます。

遮熱ルーフィング

遮熱ルーフィングは、表面にアルミが使われており、日射で暖められた屋根材からの熱を反射して、
野地板や室内の温度の上昇を防ぐのが特徴です。

室温の上昇をある程度防げれば、暑い時期もエアコンの温度も高めに設定できるでしょう。
遮熱ルーフィングを活用することで、少なくとも夏場においては電気代の節約に繋がります。
部屋が暑くて居心地が悪いと感じている人は、候補に選んでみることをおすすめします。

ただし遮熱ルーフィングは、屋根材と適切な間隔で隙間を作らなければ効果を発揮できません。
隙間を確保できない場合は、使用しても室温が大して下がらない恐れもあります。
施工業者の技術によっても効果が左右されるので、実績のあるところに相談することが大切です。

高耐久下葺材 マスタールーフィング

マスタールーフィングは「田島ルーフィング株式会社」が取り扱っている商品です。
ルーフィングの中でも極めて耐久性が高く、一般のものと比べて約2倍の耐用年数を誇ります。
基本的には修繕工事する必要がほとんどなく、ランニングコストを抑えられます。

耐久性が高い理由は、高強度の合成繊維不織布に高品質の改質アスファルトを使用しているためです。
さらに劣化防止層を重ねることで、改質アスファルトと外気が接触しないようにします。
この工夫により改質アスファルトは柔軟性を保ちやすくなり、ひび割れを防げます。

しかし合成繊維不織布や改質アスファルトを使っていることから、初期コストが高くなりやすい点に注意してください。

改質アスファルトルーフィング

改質アスファルトルーフィングの特徴は、アスファルトに合成ゴムや合成樹脂、プラスチックを加えている点です。
これらの成分を加えることで、通常のアスファルトルーフィングよりも耐久力が高くなります。

また改質アスファルトルーフィングは、タッカー(下地にルーフィングを留めるホッチキスのような道具)を使用したときに生じる穴をしっかりと塞ぎます。アスファルトの成分も相まって、止水性が比較的高いところも強みです。

その一方で、湿気が外に逃げにくくなるデメリットもあります。
特に冬の時期は、凍結が発生しやすくなるので注意が必要です。

粘着ルーフィング

粘着ルーフィングは、タッカーではなく粘着シートを使って下地に設置するルーフィングです。
ルーフィングに穴を開けないため、耐久性が高くなるといったメリットがあります。
通常のアスファルトルーフィングよりも単価が高いですが、その分ランニングコストは抑えられます。

遅延粘着材を用いた製品であれば、一定の時間内での張り直しが可能です。
下地が複雑な建物においても、最適な張り方をじっくりと探れます。

主なデメリットとして挙げられるのが、密着性が高いゆえに湿気を逃がしにくい点です。
改質アスファルトルーフィングと同じく、結露が発生しやすくなるので注意してください。

ルーフィング施工を業者に依頼する際のポイント

ルーフィング施工を業者に依頼するには、じっくりと話し合って自分の希望を伝えることが重要です。
ここでは、依頼するときにチェックしておきたいポイントを紹介します。
内容を参考にしつつ、確認したい部分をまとめてから話し合ってみてください。

ルーフィングの耐久性を確認する

施工業者に依頼するには、ルーフィングの耐久性を確認しましょう。
耐用年数の低い素材を使用すると、短期間でメンテナンスが必要になるためです。
施工業者が、どの素材で施工する予定かを見積書で把握してください。

特にルーフィングは、施主には見えないところに設置されます。どこまで劣化しているかも直接は把握しにくいです。
そのため耐用年数を確認しつつ、メンテナンス時期の目安を押さえておく必要があります。

また何としても施主と契約を結ぼうとして、何も言わずに安価なルーフィングを使って費用を下げる施工業者も存在します。
安価な種類が悪いわけではないものの、どの素材を使っているか全く説明しないところは悪徳業者の場合もあるので注意してください。

屋根材よりも寿命が長いルーフィングがベスト

ルーフィングを選ぶときは、屋根材よりも寿命が長い種類を選ぶようにしましょう。
その理由は、ルーフィングをリフォームするときは屋根材を剥がさないといけないためです。
さらに、一度剥がした屋根材は瓦以外は再利用できません。
新しいものと交換する必要があるため、それぞれの寿命をしっかりと把握してください。

屋根材は建物においても目立つ部分であるため、高価かつ耐久性の高いものを選ぶ人もいるかもしれません。
しかしその分ルーフィングを耐用年数も考慮せずに安く済ませようとすると、結果的に修理代が高くなる恐れもあります。

施工業者に依頼する際には、屋根材とルーフィングの寿命について確認してみるのをおすすめします。
その上で、どのルーフィングを使うかを選ぶとよいでしょう。

複数の業者に相見積もりを取って比較検討する

ルーフィングの施工を依頼するときは、複数の業者から見積もりをもらうこと(相見積もり)も大切です。
相見積もりを取れば、どの業者が自分の状況に適しているかを判断しやすくなります。
作業にかかる全体の費用相場を把握する点でもおすすめです。

また相見積もりを取ることで、価格競争原理が働きやすくなります。
他の企業にも問い合わせていると伝えれば、最大限まで価格を下げてもらえるケースも少なくありません。
反対に一社のみに依頼した場合、ライバル社がいないために費用を高く設定してくる業者もいるので注意しましょう。

実際の話し合いにおいて、別の施工業者が提示した価格を伝えるのも方法のひとつです。
ただし他社からもらった見積書を見せるのは、基本的にNGとされています。
相見積もりを依頼する際には、見積書の取り扱いに気を付けましょう。

施工状況は写真で確認する

作業した状況を写真で見せてもらうことも、ルーフィングの施工において重要です。
特にルーフィングは作業が終わってしまったら、どのように貼り付けられているかを確認できません。
もし雨漏りが改善されていなければ、やり直しでさらに膨大な時間がかかります。

写真の撮影を依頼すれば、施工業者自身も随時確認しながら作業できます。
施工業者もミスがないかをチェックしやすくなるため、お互いにとって重要な行為です。

とはいえ、基本的には写真を見ても正しく貼り付けられているかはわからないはずです。
写真を見せてもらう際には、担当した施工業者から細かい説明を受けてください。
作業した日に施工内容を確認すれば、疑問に感じているところを質問できます。

雨予報の直前に施工をスケジューリングする業者には要注意

雨と予報されているにもかかわらず、直前に施工をスケジューリングする業者は避けたほうが賢明です。
ルーフィングの設置は、当然ながら屋根を空けた状態の作業となります。
雨で野地板が濡れると、工事が原因で建物全体の劣化を早めてしまいます。

とはいえ、霧雨や小雨の状態であればルーフィングの設置自体は可能です。
雨天時の作業が、必ずしも悪いわけではありません。

しかし小雨と予報されていても、天気予報が外れてより強い雨が降る可能性もあります。
顧客のことを考えている施工業者であれば、あえて雨と予報されている日に作業するのは避けるはずです。
施工業者自身の都合に合わせてスケジューリングされていると感じたら、別のところに依頼するのをおすすめします。

まとめ

この記事では、アスファルトルーフィングを中心に解説しました。
ルーフィングの中でも幅広い施工業者に採用されており、お馴染みとなっている種類です。
防水機能を高める機能があり、規格もJISにより細かく定められています。

アスファルトルーフィング以外にも、さまざまな種類が存在します。
それぞれのメリットやデメリットを見比べながら、良いと感じたものを選ぶようにしましょう。
複数の業者からアドバイスをもらいつつ、相見積もりを取ることもルーフィング選びにおいて重要です。